教養教育

身体等に障害のある学生に対する試験等における特別措置について

A.理念

この特別措置は,広島大学障害学生の就学等の支援に関する 規則第6条第2項の規定に基づき,身体等に障害のある学生に対して,試験等の評価基準は変更しないが,その伝達方法及び回答方法等について,当該学生の障害に応じて変更を加え,その学生の不利益にならないようにするために定める。

B.特別措置の対象者

次のいずれかに該当する者
1. 入学試験(大学入試センター試験を含む)において特別措置を講じた者
2. 障害者手帳の交付を受けている者,あるいはそれと同程度の障害を有する者
3. 通常の授業の受講の様子から,担当教官が特別措置を必要と認めた者

C.特別措置の内容・方法等

以下の特別措置の内容・方法等を基準として,具体的には,当該学生及びチューター(指導教官)と授業担当教官が協議して決める。

<視覚障害者(点字使用者)>

1. 出題形式は,(1)点字*1,(2)普通文字の読み上げ,(3)録音テープの再生,(4)フロッピーディスク*2,などによる。
2. 解答形式は,(1)点字*1,(2)口頭,(3)テープ録音,(4)ワープロ*3,などによる。
3. 上記1及び2のそれぞれの(1)~(4)は,さまざまな組合せを可能とする。
4. 必要に応じて,試験時間を延長する。
5. 出題形式や解答形式,試験時間の延長により,必要があれば,別室で行う。

<視覚障害者(弱視者)>

1. 希望があれば,問題用紙や解答用紙を拡大コピーする。(拡大倍率は当該学生と協議して決める)
2. 当該学生の必要性に応じて,弱視レンズ,拡大読書器,補助照明器具等の使用や,ワープロによる解答等を認める。
3. 窓際の明るい座席を希望する場合は,その座席を保証する。
4. 必要に応じて,試験時間を延長する。
5. 出題形式や解答形式,試験時間の延長により,必要があれば,別室で行う。

<聴覚障害者>

1. 問題用紙に印刷されない,口頭による説明がある場合は,当該学生に対しては,紙に書いたものを渡すか,黒板に書く。
2. 試験時間・終了の指示が明確に伝わるようにする。
3. 必要に応じて,手話通訳者を配置するか,筆談によるコミュニケーションを図る。
4. 必要に応じて,試験時間を延長する。
5. コミュニケーションの方法や試験時間の延長により,必要があれば,別室で行う。

<上肢機能障害者>

1. 解答形式は,必要に応じて,(1)ワープロ*4,(2)口頭*5,(3)テープ録音,(4)代筆*6などによる。
2. 自筆解答による場合は,必要に応じて,解答用紙を拡大したり,自由記述形式*7などによることも可能とする。
3. 必要に応じて,試験時間を延長する。
4. 解答形式や試験時間の延長により,必要があれば,別室で行う。

<体幹機能障害者>

1. 座位を保つことが不可能又は困難な場合は,別室において,当該者にとって受験しやすい状況を設定する。
2. 解答形式は,必要に応じて,上肢障害者に準じて配慮する。
3. 必要に応じて,介助者の同席を認める。
4. 必要に応じて,試験時間を延長する。
5. 上記1に該当しない場合でも,解答形式や試験時間の延長により,必要があれば,別室で行う。

<その他の障害者>

1. 上述の障害種別に該当しない者に対する特別措置は,上述の障害種別による措置に準じて配慮するか,あるいは,当該学生及びチューター(指導教官)と担当教官が協議して,配慮の内容・方法を決定する。
2. 上述の障害を複数併せ持つ者に対しては,それぞれの障害種別による措置を参考にしながら,当該学生及びチューター(指導教官)と担当教官が協議して,配慮の内容・方法を決定する。

<一般的事項>

1. 試験時間の延長範囲の適切さは,障害の種別や程度,問題の内容,出題形式や解答形式などにより,異なるので,一律に規定することは出来ない。
一つの参考として,大学入試センター試験においては,
 (1) 点字受験者に対しては一般の試験時間の1.5倍
 (2) 弱視者に対しては1.3倍
 (3) 体幹機能障害により座位を保つことが困難な者,両上肢の機能障害が著しい者のうち,通常のマークシートとは別のチェック解答用紙により解答する者に対しては1.3倍
 (4) 代筆により解答する者に対しては,科目により1.3倍又は1.5倍の時間延長が認められている。
2. 試験時間の延長にあたっては,その試験の直前又は直後の授業や試験との時間的重複が生じないように,以下のような配慮をする 。
 (1) その試験の後の授業や試験がなければ,延長分を後に追加する。
 (2) その試験の後の授業や試験はあるが,その試験の前の授業や試験がなければ,延長分を前に追加する。
 (3) その試験の前後とも授業や試験がある場合は,別室において,一般の受験者との間に試験の内容 について交渉がもてない状況を設定して,順次,試験時間をずらして実施する。
 (4) 一般問題とは別の問題により,時間帯や日を変えて試験を行う。
 (5) 一般問題とは別に,レポートにより評価する。
3. 課題を提示してから,後日レポートを提出させる場合は,当該学生のレポート作成のための時間を考 慮して,提出期日を延期するかどうかを,当該学生及びチューター(指導教官)と担当教官が協議し て決める。
4. 当該学生の身体等の障害に関連する体調の不良等により,試験日に受験できない場合の追試等の取り 扱いについては,担当教官の裁量とする。

*1 点字により出題する場合は,普段の授業の教材等を点訳している学生に,問題の点訳を依頼することが適切でないものについては,(1)教育学研究科,(2)広島県立盲学校,(3)広島県立点字図書館,(4)一般の点訳奉仕団体,などに依頼する。なお,点訳には,問題の内容や量により,時間がかかることを考慮する必要がある。 また,出題内容に図や表がある場合,その内容によっては,修正を必要とすることがあったり,触察・触読が不可能なため代替問題にする必要があることもある。点字による解答の処理については,(1)解答を回収した後で,本人に読み上げさせる,(2)普段点訳を担当している学生(出題内容を知らない者)に読み上げさせるか,又は普通文字への書きなおしを依頼する,(3)問題の点訳を依頼した前段の団体等に,普通文字への書きなおしを依頼する,などの方法が考えられる。
*2 フロッピー・ディスクによる出題とは,当該視覚障害者が,パソコンの音声ディスプレイ又は点字ディスプレイによる読取りが可能な場合に,行いうる方法。ファイル様式など具体的な方法については,本人と協議する。
*3 視覚障害者が漢字を含む普通文字による文書を作成できる視覚障害者用ワープロシステムがある。
*4 上肢機能障害者がワープロを使う場合,通常の手の指でキーを叩く入力の方法以外に,くわえた(あるいは額に固定した)棒でキーを叩くなど,特殊な方法をとる者もいる。
*5 肢体不自由者の中には,発音に問題があり,普段から本人とのコミュニケーションに慣れていないとスムーズに聞き取れないことがあり,通訳者を介することが必要なこともある。
*6 代筆者の選定にあたって,上記*5と同じ問題があり,普段から本人とのコミュニケーションに慣れている者を代筆者にすることが必要なこともある。
*7 上肢機能障害者の中には,規定された罫線や枠の中に文字を書くことが困難な者がいる。 そのような場合には,白紙の解答用紙を与え,問題番号等を明記させたうえで,自由に記述させる解答方法もある。

C.特別措置の内容・方法等

1. 各学部,各研究科及び専攻科(以下「学部等」という。)は,身体等に障害のある学生に対する試験等における特別措置の内容等について,学生及び教官に対して周知を図る。
2. 当該学生は,特別措置を受けようとする試験科目の開設学部等の教務担当に,原則として履修登録確定後から試験日の3週間前までに申請する。(ただし,点字による出題又は代筆による解答を希望する場合は,原則として履修登録確定後から4週間前までに申請する)なお,不測の事態により特別措置の必要が生じた場合には,上述の期間にかかわらず速やかに申請する。
3. 申請をうけた教務担当は,当該授業の担当教官に連絡する。
4. 当該授業の担当教官は,必要があれば当該学生及びチューター(指導教官)と特別措置の内容・方法等について協議する。

E.特別措置の措置状況報告

特別措置の申請があった授業科目を開設する学部等の長は,特別措置の意義・内容の周知徹底を図るため,各学期ごとに特別措置の措置状況をとりまとめ, 教育室障害学生就学支援部会長に文書で報告する。

本ページ(教養教育)に対するお問い合わせは,教育推進グループ(教養教育担当)
gsyugaku-group@office.hiroshima-u.ac.jpまでお寄せください。


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