年度 |
2024年度 |
開講部局 |
理学部 |
講義コード |
HC055000 |
科目区分 |
専門教育科目 |
授業科目名 |
熱力学 |
授業科目名 (フリガナ) |
ネツリキガク |
英文授業科目名 |
Thermodynamics Mechanics |
担当教員名 |
松村 武 |
担当教員名 (フリガナ) |
マツムラ タケシ |
開講キャンパス |
東広島 |
開設期 |
2年次生 前期 セメスター(前期) |
曜日・時限・講義室 |
(前) 水5-6:理E002AV |
授業の方法 |
講義 |
授業の方法 【詳細情報】 |
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板書中心.対面オンライン併用.Moodle活用.必携PCも活用(Mathematicaなど). |
単位 |
2.0 |
週時間 |
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使用言語 |
J
:
日本語 |
学習の段階 |
2
:
初級レベル
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学問分野(分野) |
25
:
理工学 |
学問分野(分科) |
06
:
物理学 |
対象学生 |
2年次生 |
授業のキーワード |
熱力学第1法則と第2法則,気体分子運動論,理想気体と実在気体,状態方程式,等温・定積・定圧・断熱変化,カルノーサイクル,エントロピー,自由エネルギー,ファンデルワールス気体,相転移,化学ポテンシャル,気体の液化 |
教職専門科目 |
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教科専門科目 |
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プログラムの中での この授業科目の位置づけ (学部生対象科目のみ) | 質量や電荷をもった粒子が重力場・電場・磁場の中でどのように運動するかを学ぶのが力学や電磁気学なのに対して,熱力学では,力学や電磁気学の基本法則に従って運動する個別の粒子が,アボガドロ数程度の莫大な数だけ集まって集合体をなすときの,集団としての法則を学ぶ.典型例はPV=nRTであり,個別の粒子の運動が集まった結果,P, V, Tというパラメータが決まり,その間に法則が見いだされる.2年後期から学ぶ量子力学と,3年次から学ぶ統計力学を組み合わせることで,熱力学がミクロな立場からきちんと理解され,原子の集合体である物質の性質(磁性,誘電性,超伝導など)を扱う物性物理学へとつながる. |
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到達度評価 の評価項目 (学部生対象科目のみ) | 物理学プログラム (知識・理解) ・物理数学,力学,電磁気学,熱力学,統計力学,量子力学の知識・理解 |
授業の目標・概要等 |
莫大な数の粒子が集まって集合体(凝縮系)をなすとき,「体積」,「圧力」,そして「温度」という概念が生まれ,「エントロピー」という尺度が生まれる.大学で学ぶ熱力学の目標は,エントロピーとは何かを理解することただ一点にあると言っても過言ではない.理想気体だけでなく,実在気体のモデルとしてのファンデルワールス気体を様々な角度から扱うことで,粒子の集合体が膨張・収縮し,気体ー液体ー固体と相転移する背景に何があるのか,エントロピーという尺度の働きについて学ぶ. |
授業計画 |
第1回 はじめに.授業計画と目標.熱力学で何を学ぶか.高校物理熱力学の復習.定圧変化. 第2回 気体分子運動論,内部エネルギー,熱力学第1法則,定積変化,等温変化 第3回 状態方程式,偏微分,全微分 第4回 断熱変化,カルノーサイクル,熱効率 第5回 エントロピー,不可逆変化 第6回 熱平衡条件と自由エネルギー 第7回 エントロピーの微視的考え方 第8回 熱力学関数,熱平衡,エンタルピー 第9回 化学ポテンシャル,相平衡,クラジウスークラペイロンの関係 第10回 理想気体の熱力学関数,蒸気圧曲線 第11回 ファンデルワールスの状態方程式 第12回 ファンデルワールスモデルによる気体ー液体相転移 第13回 ジュール・トムソン効果,気体の液化 第14回 ヘリウムの液化 第15回 試験
期末試験(予定7/24),レポート課題あり.毎回の授業で小テストあり. |
教科書・参考書等 |
教科書:「熱力学」(三宅哲,裳華房) 演習書:「大学演習 熱学・統計力学(修訂版)」(久保亮五編,裳華房) |
授業で使用する メディア・機器等 |
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【詳細情報】 |
具体的な数値計算はたくさんやります.毎回の小テストでも出しますので,指数や対数の計算が自在にできるような関数電卓を準備しておいて下さい.方程式を解いて図示する数値計算課題も出します.情報メディア教育センター(https://www.media.hiroshima-u.ac.jp)から必携PCにMathematicaをインストールし,動かせるようにしておくと学習効果が上がると思います(Pythonでも可).簡単な関数プロットやリスト操作程度はできるようにしておいて下さい.その他,資料はすべてMoodleにアップロードしますので,各自で参照して下さい.授業での細かい説明は省略される可能性があります. |
授業で取り入れる 学習手法 |
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予習・復習への アドバイス |
授業の他,教科書,配布テキスト(教科書にない,または別の角度からの説明),配布問題,演習書を用いた独習は不可欠です.演習(手計算と数値計算),質問,議論を通して理解を深めて下さい.3年次で統計力学を学ぶ前提として重要な概念を学習します. 第1回:高校物理の熱力学を見直しておく. 第2回:多数の粒子のミクロな運動からマクロな物理量が出てくることを意識. 第3回:変数が2個以上あるときの微分の考え方.全微分とは. 第4回:カルノーサイクルとは何を考えるためのものか.熱をどうやって力学的仕事に変えるか. 第5回:エントロピーとは何か.熱力学的定義. 第6回:力学では位置エネルギーが仕事に変わるが,熱機関では何が仕事に変えられるか? 第7回:エントロピーの微視的考え方 第8回:熱平衡状態で実現する状態とはどのような状態か? 第9回:気体と液体が共存するときの圧力と温度の関係は? 第10回:2相が共存するとき,ミクロにはどのような状態が実現しているか. 第11−12回:ファンデルワールス気体の相転移,内部エネルギー,エントロピー,自由エネルギー,比熱,圧縮率など,いろいろな物理的性質 第13回:ジュール・トムソン効果で気体の温度を下げる 第14回:気体を液化する方法とその条件 第15回:まとめのテスト |
履修上の注意 受講条件等 |
高校物理の熱力学(高校教科書の練習問題や章末問題レベル)はマスターしておいて下さい. |
成績評価の基準等 |
小テスト15%,レポート15%,期末試験70%で評価する.授業またはMoodleで2回以上の質問をすることも条件. |
実務経験 |
有り
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実務経験の概要と それに基づく授業内容 |
熱力学,統計力学,量子力学を土台とする固体物性研究において,試料作製,比熱や磁化などの基礎物性測定,中性子散乱,放射光を用いた共鳴X線回折などの先端的手法による物性実験とそのデータ解析,モデル構築と計算シミュレーションの経験に基づいた,物質中で起こる物理現象理解のための実践的授業. |
メッセージ |
日常生活の中で観察される熱現象や,熱機関の原理,そして「エントロピー」の概念を理解することを目標とします.ジュールトムソン効果と気体の液化を理解することも目標です. |
その他 |
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すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。 回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 |