年度 |
2024年度 |
開講部局 |
法学部法学科昼間コース |
講義コード |
F2148000 |
科目区分 |
専門教育科目 |
授業科目名 |
外交関係論 |
授業科目名 (フリガナ) |
ガイコウカンケイロン |
英文授業科目名 |
Contemporary Diplomacy |
担当教員名 |
兒玉 和夫 |
担当教員名 (フリガナ) |
コダマ カズオ |
開講キャンパス |
東千田 |
開設期 |
2年次生 後期 4ターム |
曜日・時限・講義室 |
(4T) 火1-4:東千田M401/402講義室 |
授業の方法 |
講義 |
授業の方法 【詳細情報】 |
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講義中心 |
単位 |
2.0 |
週時間 |
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使用言語 |
J
:
日本語 |
学習の段階 |
2
:
初級レベル
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学問分野(分野) |
24
:
社会科学 |
学問分野(分科) |
02
:
政治学 |
対象学生 |
2年次生以上 |
授業のキーワード |
外交、政治、実務家、日本外交、SDG_16 |
教職専門科目 |
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教科専門科目 |
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プログラムの中での この授業科目の位置づけ (学部生対象科目のみ) | |
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到達度評価 の評価項目 (学部生対象科目のみ) | |
授業の目標・概要等 |
講師の44年有余にわたる日本外交の実務家としての経験を踏まえ、「実践」の側から、「理論」としての国際関係論/国際政治論の進展を論じる。具体的には、ウェストファリア体制の発足から第二次大戦終結までの国際政治史(2回分)を概観する中で、理論と実践の相互作用を考察する。続いて、17世紀以来、今日までの国際政治をリードしてきた英国と米国、それぞれの政治外交理念と実践を考察する。 その上で、明治維新から「アジア太平洋戦争」敗戦までの日本の政治外交の歴史、とりわけ、何故、日本は敗戦・占領という運命を甘受することになったのか、その淵源はどこにあるのかについて考察する。そうした考察を通じて、日本の政治外交の戦前と戦後の断絶と継続について、更には、占領、新憲法制定を経て独立を回復した日本外交を「特殊」と「普遍」という切り口で考察する。 最後に、講師の多44年有余にわたる日本外交の実務家としての経験44年有余にわたる日本外交の実務家としての経験、主権国家中心の「地政学」(リアリズム国際政治)ではとらえきれない「超主権国家型」(トランス・ナショナル)な地球規模秩序形成の動き、そこにおける日本の立ち位置を論じる。 |
授業計画 |
第1回 ガイダンス及び国際政治史の概観(ウエストファリア体制樹立から第一次世界大戦まで) 第2回 国際政治史の概観(第一次世界大戦開始から第二次世界大戦終了まで) 第3回 英国外交の理念と実践(思想と現実の相互作用を経た外交・政治過程) 第4回 米国外交の理念と実践(思想と現実の相互作用を経た外交・政治過程) 第5回 国際組織/機関発展の歴史(意義と課題) 第6回 EU統合(人類史上例をみない取り組み、その意義と展望) 第7回 日本政治・外交論(明治国家成立から「アジア太平洋戦争」の敗北まで) 第8回 日本政治・外交論(戦前・戦後の断絶と継続)
第9回 日本政治・外交論(戦後日本外交の特殊と普遍) 第10回 OECDの役割と日本 第11回 外交実務の諸相について 第12回 外交と世論・メディア 第13回 ロシアのウクライナ侵攻と今後の世界
第14回 21世紀の国際社会はどこへ行くのか 第15回 --
毎回の授業に対する小レポート(400字前後)と期末レポート(2000字前後)を実施。試験はありません。 |
教科書・参考書等 |
● Hans Joachim Morgenthau(ハンス・ヨアヒム・モーゲンソー)著 原題『Politics among Nations: the Struggle for Power and Peace』(1948年Knopf社刊) 原彬久監訳『国際政治――権力と平和』(岩波文庫(全3巻)、2013年) ● 岡義武著 『国際政治史』(岩波現代文庫(改訂版), 2009年) ● 樋口陽一著『比較憲法』 青林書院新社 1988年改訂版5刷 ● 斎藤眞・古矢旬共著『アメリカ政治外交史』第2版(東京大学出版会、2012年) ● 西崎文子著 『アメリカ外交史』(東京大学出版会、2022年) ● 坂野潤治著 『近代日本の国家構想: 1871-1936 (岩波現代文庫)』 ● 井上寿一著 『日本外交史講義』(岩波書店〈岩波テキストブックス〉新版2014年) |
授業で使用する メディア・機器等 |
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【詳細情報】 |
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授業で取り入れる 学習手法 |
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予習・復習への アドバイス |
第1回:国際政治史の概観(ウエストファリア体制樹立から第一次世界大戦まで) ●主権国家平等という大原則が支配した、inter-nationalism 時代の国際政治 第2回:国際政治史の概観(第一次世界大戦開始から第二次世界大戦終了まで) ● リアリズムとアイデアリズムのせめぎあい ●第2次世界大戦終了と国連誕生の国際政治史における意味(国連を中心とする国際組織 /国際機関の誕生と強化が、主権国家至上主義を変えつつある時代(trans- nationalism)。 ●国連誕生の意義と役割(第二次大戦の結果生まれた国連):「規範」(正義)と「力」で作り上げられた国連 第3回:英国外交の理念と実践(思想と現実の相互作用を経た外交・政治過程) ●歴史の断絶を経験していない稀有な主権国家(他には米国のみ) ●18世紀、19世紀の外交をリードした主権国家、英国。20世紀に入り、長期衰退の道をたどる。しかし、衰退をマネージして、主要国としての地位を保持して、現在に至る。 第4回:米国外交の理念と実践(思想と現実の相互作用を経た外交・政治過程) ●「理念」の大国であると共に「覇権国家」でもある米国とは如何なる存在か? ● 歴史の転換期における指導力の発揮(大西洋憲章は、1941年8月に発表;この時期に、戦後世界の拠るべき秩序、原則を構想し、発表する「力」。そこには、常に、英国が寄り添う。同じことが、2021年6月には、新大西洋憲章として発表。 第5回:国際組織/国際機関発展の歴史(意義と課題) ●国際関係、国際政治における主要なアクターとして、特に、20世紀に入ってからその重要性を増している「政府間組織」、「国際機関」の役割について考察。 第6回 : EU統合(人類史上例をみない取り組み、その意義と展望) ●独仏和解を経て、超主権国家的実体・制度としての政治・経済統合体建設の歴史 の概観と未来を展望する。 ●日EU経済連携協定及び戦略的パートーナーシップ協定締結から見える「価値」 (規範)重視の国際政治 第7回:日本政治・外交論(明治国家成立から「アジア太平洋戦争」の敗北まで) ●明治維新から敗戦までの日本の政治外交史を「この国のかたち」を補助線に考察する。 第8回: 日本政治・外交論(戦前・戦後の断絶と継続) ●日本の敗戦と教訓(「失敗の本質」) ●戦後日本国憲法が体現する「この国のかたち」について考察する。 ●「逆コース」の占領政策:非軍事化された「日本」から対共産主義の橋頭保たる「同盟国日本」への転換 ● 単独講和による独立回復と国際社会への復帰、そして、日米安保条約締結 第9回:日本政治・外交論(戦後日本外交の特殊と普遍) ●吉田ドクトリンの下での戦後復興と国際社会復帰、戦前の「文武両道」外交か ら「文」のみの外交へ ●日本の自己認識と世界の対日認識のギャップ:「経済的巨人」だが「政治的小人」 ●一国平和主義の蹉跌と積極的平和主義への転換 ●日本民族の日本民族のアイデンティティと歴史認識 第10回:OECDの役割と日本 ●機能的国際組織OECD誕生の経緯とその現代的意義 ●経済のグローバリゼーション(ヒト、モノ、サービス、資本の国境を越えた自由な移動)が進む中、地球規模での公正・公平なルール作りを行う場。 第11回:外交実務の諸相について ●外務省の任務及び所掌事務、外交の政治過程、外交官に求められる資質 ● 体験的外交論(その一:「国際すず機関破綻」と「多国間解決」) ● 体験的外交論(その二: 大洋州課長時代) 第12回:外交と世論・メディア ●民主主義社会におけるメディアの役割及び外交とメディアの関係 ●対外発信におけるPDCAサイクル論の適用 第13回:ロシアのウクライナ侵攻と今後の世界 ●第1回講義から学んできた国際政治史、国際政治理論、国際法の全てを動員して、まず、何が起きたのか、何故プーチンはこの行動を起こしたのか、そして、日本を含む国際社会は、事変発生以来、どのような多国間・二国間「外交」を行ってきたのかを、国際政治学徒として、検証する。 ●国連安保理改革(日本の常任理事国入りは「見果てぬ夢」に終わるのか? 第14回:21世紀の国際社会はどこへ行くのか? ●主権国家システムは、21世紀の地球社会(生圏)が直面する問題群の解決にどこまで有効であるかを考察。 ●「超主権国家型」(トランス・ナショナル)な地球規模秩序形成の動きを展望する。 |
履修上の注意 受講条件等 |
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成績評価の基準等 |
各回毎のレポート提出(40%)と最終レポート(60%)。 各回毎のレポート提出が、8回未満の場合は「欠席」(単位なし)扱い。 |
実務経験 |
有り
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実務経験の概要と それに基づく授業内容 |
元外交官が、44年有余にわたる日本外交の実務家としての経験を踏まえ、日本外交を講義する。 |
メッセージ |
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その他 |
講義に対する要望等については、 nag@hiroshima-u.ac.jp m236184@hiroshima-u.ac.jp にメールを同報してください。 |
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。 回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 |