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年度 2025年度 開講部局 総合科学部総合科学科
講義コード AHA15001 科目区分 専門教育科目
授業科目名 ストレス科学
授業科目名
(フリガナ)
ストレスカガク
英文授業科目名 Stress science
担当教員名 樫原 潤
担当教員名
(フリガナ)
カシハラ ジュン
開講キャンパス 東広島 開設期 3年次生   前期   2ターム
曜日・時限・講義室 (2T) 木1-4:総L201
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
対面
講義中心,ディスカッション,学生の発表 
単位 2.0 週時間 4 使用言語 J : 日本語
学習の段階 3 : 中級レベル
学問分野(分野) 24 : 社会科学
学問分野(分科) 06 : 心理学
対象学生
授業のキーワード SDG_03,ストレス,精神障害,心理測定,心理ネットワークアプローチ,プロセス・ベースド・セラピー 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
(学部生対象科目のみ)
ストレスの蓄積から生じる精神障害と,その病理を研究するための方法論について概説します。人の病理的問題やその研究についての発展的授業という位置づけです。 
到達度評価
の評価項目
(学部生対象科目のみ)
総合科学プログラム
(知識・理解)
・当該の個別学問体系の重要性と特性、基本となる理論的枠組みへの知識・理解 
授業の目標・概要等 人は生きていくうえで多種多様のストレッサーにさらされており,ストレス反応も人によって千差万別です。この授業では,多様で複雑なストレス過程について系統的に理解するとともに,新たな研究知見を積み上げるための理論や方法論を学ぶことを目指します。授業内では精神障害を中心にレクチャーしますが,ディスカッションや情報検索,レポート課題等を通じて,病理レベルに至らないストレス過程についても学びを深めることを目指します。 
授業計画 第1回 オリエンテーション:精神病理の基礎理論とストレス過程の多様性
第2回 複雑システムとしての精神障害:プロセス・ベースド・セラピー
第3回 精神障害の基礎知識 (1):うつ病・双極症
第4回 精神障害の基礎知識 (2):社交不安症・パニック症
第5回 精神障害の基礎知識 (3):強迫症・PTSD
第6回 精神障害の基礎知識 (4):統合失調症・摂食障害
第7回 精神障害の基礎知識 (5):パーソナリティ症とダークパーソナリティ
第8回 精神障害の基礎知識 (6):発達障害
第9回 ストレス過程の測定法 (1):認知実験課題・神経生理学的検査
第10回 ストレス過程の測定法 (2):経験サンプリング法とライフログデータ
第11回 ストレス過程の解析法 (1):心理ネットワークアプローチの導入
第12回 ストレス過程の解析法 (2):心理ネットワーク分析の実践
第13回 グループワーク:精神障害に関連した先行研究の相互発表
第14回 ストレス研究・精神病理研究の将来展望:ハブ・サイエンスの追求に向けて
第15回 まとめ:一人ひとりの「ストレス科学」を切り拓くために

毎回,授業内でディスカッションや調べ物の時間を設けるとともに,授業時間外のショートレポートで学んだ内容を簡単にまとめていただきます。また,第3~8回までに扱った精神障害に関連する先行研究を各自検索してもらったうえで,第13回のグループワークで調べた内容を相互発表していただきます。その発表内容をもとに,最終レポートを執筆していただきます。 
教科書・参考書等 ■教科書
丹野 義彦・石垣 琢麿・毛利 伊吹・佐々木 淳・杉山 明子(著) (2015). 『臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣

■参考書
ホフマン, S. G.・ヘイズ, S. C.・ロールシャイト, D. N. (著) 菅原 大地・樫原 潤・伊藤 正哉 (監訳) (2023). プロセス・ベースド・セラピーをまなぶ:「心の変化のプロセス」をターゲットとした統合的ビジョン 金剛出版
イスヴォラヌ, A.-M.・エプスカンプ, S. C.・ウォルドープ, L.・ボースブーム, D. (編著) 樫原 潤・小杉 考司 (監訳) (2024). 心理ネットワークアプローチ入門:行動科学者と社会科学者のためのガイド 勁草書房

その他,授業内で適宜紹介します。 
授業で使用する
メディア・機器等
テキスト, 配付資料, その他(【詳細情報】を参照), moodle
【詳細情報】 必携PC。毎回の授業について,Moodle上でパワーポイント資料やミニレポート課題を配布します。テキストの持参は求めませんが,授業前後に通読しておくようにしてください。毎回,ディスカッションや調べ物の時間を取りますので,ノートPCを持参してください。 
授業で取り入れる
学習手法
ディスカッション, 授業後レポート
予習・復習への
アドバイス
第1回 ストレス-脆弱性理論の概要を理解したうえで,自分自身がよく体験するストレス過程は何か考えてみよう。
第2回 プロセス・ベースド・セラピーのツールを用い,自分自身のストレス過程を図式化して整理してみよう。
第3回 うつ病治療で用いられる思考記録表を用い,自分自身が体験したストレスフルな出来事を振り返ってみよう。
第4回 不安症治療で用いられるリラクセーション法を実施し,体験内容をシェアしよう。
第5回 自分自身が不安や緊張を感じたシチュエーションを振り返り,それを克服するための不安階層表を作成してみよう。
第6回 摂食障害の心理メカニズムを深く理解するために,SNSや社会規範から生じるストレス過程について議論しよう。
第7回 Big-fiveパーソナリティ尺度の簡易版に回答し,自分自身の強みと弱みを整理しよう。
第8回 なにかひとつの発達障害に着目し,自分自身のパーソナリティとの類似点・相違点を整理しよう。
第9回 認知実験課題をノートPC上で体験し,測定のメカニズムについて議論しよう。
第10回 研究参加者に過度な負担をかけずに経験サンプリング法を実施するにはどのような工夫を講じると良いか,アイデアを出し合おう。
第11回 精神病理やストレス過程を検討する際に心理ネットワークアプローチを用いることの長所と短所を,潜在疾患モデルとの比較に基づいて整理しよう。
第12回 フリーの統計解析ソフトJASPとオープンデータを用い,心理ネットワーク分析を実施して結果をシェアしよう。
第13回 精神障害に関連した先行研究の検索結果をシェアし,質疑応答を通してさらなる問いを発見しよう。
第14回 ストレス研究や精神病理研究を活性化させるために,他の授業で学んだ知識や技術をどのように応用できそうか議論しよう。
第15回 自分が今後研究してみたいテーマを追求するうえで,授業で学んだことをどのように生かせるかを考えよう。
 
履修上の注意
受講条件等
 
成績評価の基準等 毎回の授業で課すショートレポート (20%) と最終レポート (80%) により総合的に評価します。また,授業への取り組み態度に問題がみられる場合は,成績評価に加味します。 
実務経験 有り  
実務経験の概要と
それに基づく授業内容
臨床心理士・公認心理師として心理相談業務に携わった経験を踏まえ,精神病理の実際や研究法についてレクチャーします。 
メッセージ ノートパソコンを持参すること。能動的な取り組みが求められる授業ですが,頑張ったぶんだけ研究の面白さにより多く気づけるはずです。この授業をきっかけに,一人ひとりの「ストレス科学」を切り拓いていってください! 
その他   
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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