年度 |
2024年度 |
開講部局 |
教育学部 |
講義コード |
CC246106 |
科目区分 |
専門教育科目 |
授業科目名 |
法比較研究 |
授業科目名 (フリガナ) |
ホウヒカクケンキュウ |
英文授業科目名 |
Comparative Study of Law |
担当教員名 |
畑 浩人 |
担当教員名 (フリガナ) |
ハタ ヒロト |
開講キャンパス |
東広島 |
開設期 |
3年次生 後期 3ターム |
曜日・時限・講義室 |
(3T) 金5-8:教K208 |
授業の方法 |
講義 |
授業の方法 【詳細情報】 |
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対面形式を原則とするも、必要な範囲でTeamsのテレビ会議やブログ機能を活用。英書講読、質疑応答・討論、学生の翻訳レポート。 |
単位 |
2.0 |
週時間 |
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使用言語 |
J
:
日本語 |
学習の段階 |
3
:
中級レベル
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学問分野(分野) |
24
:
社会科学 |
学問分野(分科) |
01
:
法学 |
対象学生 |
3年生以上の学術的な視野を古今東西に拡げようとする熱心な御仁 |
授業のキーワード |
正義のイメージ、司法の機能・役割、少年非行、逸脱、少年裁判所、社会内処遇、施設内矯正、更生保護、犯罪予防、保護観察、国家体制 |
教職専門科目 |
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教科専門科目 |
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プログラムの中での この授業科目の位置づけ (学部生対象科目のみ) | これまでの授業で培った知識量、理解力、語学力、それら基礎力の応用を試す機会を提供する。もちろん、海外のテキストを読むので、学修する内容は海外の先進的なテキストの編集形式も含めて、新しく有益な知識をたくさん獲得できることになろう。 |
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到達度評価 の評価項目 (学部生対象科目のみ) | 中等教育科学(社会・地理歴史・公民)プログラム (知識・理解) ・中等社会系公民領域の教育内容に関する基本的な知識が身に付いている (能力・技能) ・社会系内容領域の資料・データを収集・読解し,分析・批評できる |
授業の目標・概要等 |
公民科教育の内容と資質を向上させるため、主にアメリカ合衆国の少年司法システムについて大学レベルの英文テキストを購読し、米国の司法過程を精確に認識したうえで、それを日本の制度とも「比較」しながら、双方の司法制度とその運営過程を公正に比較し評価できる客観的視点の獲得と、法現象を分析できる能力の修得をめざす。 また、最近、英語能力が学生諸君の勉学状況を評価する客観的で共通の指標として学内外から重視されているようなので、アメリカの大学生向けの平易な英文を一定の速度で読解し、一定の分量を読破してみることは語学力向上の特訓としても有効だろう。 |
授業計画 |
Lesson 1: Introduction; Selection of the text or article we will read. 講読文献の説明と選択→数年前から「正義像」の解読が中心です。 Lesson 2: Preface of the text, Bibliography. 序文と参考文献 Lesson 3: Understanding and Criticizing some Statistics of the White Paper on Crime. 警察・犯罪白書の統計に対する十全な理解 Lesson 4: Chapter 1 An Overview of Juvenile Justice in the United States p.1 (in 8th edtion, 2015) 合衆国の少年司法概観 Lesson 5: Chapter 2 The History of Juvenile Justice and Origins of the Juvenile Court p.30 少年司法の歴史と非行少年裁判所の起源 Lesson 6: Chapter 3 Theories of Delinquency and Intervention Programs p.64 非行理論と介入計画集 lesson 7: Chapter 4 The Legal Rights of Juveniles p.99 非行少年の権利 Lesson 8: Chapter 5 Juveniles and the Police p.134 非行少年と警察 Lesson 9: Chapter 6 Intake and Preadjudicatory Processing p.166 事件送致と審判準備過程 Lesson10: Chapter 7 Prosecutorial Decision Making in Juvenile Justice p.190 少年司法における訴追決定 Lesson11: Chapter 8 Classification and Preliminary Treatment: Waivers and Other Alternatives p.213 分類と準備処遇:試験観察その他の措置 Lesson12: Chapter 9 The Adjudicatory Process: Dispositional Alternatives p.248 審判手続:処遇の模索 Lesson13: Chapter 10 Nominal Sanctions: Warnings, Diversion, and Alternative Dispute Resolution p.282 名目的な制裁:訓戒、不罰措置、裁判外紛争解決。 Lesson14: Chapter 11 Juvenile Probation and Community-Based Corrections p.305 少年対象保護観察と社会内処遇 Lesson15: Chapter 12 Juvenile Corrections: Custodial Sanctions and Aftercare p.335 少年矯正:拘禁制裁と出所後の処遇
毎回の文献読解や質疑応答を通じて予修・復修や理解度を評価していくので、期末試験はないが、残った分はレポートで補充してもらう予定。 ※「予修」「復修」とは高等教育レベルの打って出る攻勢的な予習・復習のことで、担当教員の造語です。
毎回の一緒にテキストの原文を読解し、教員が解説を加えたうえで、日米の司法制度や少年司法システムについて質疑応答・討論する。 これまでの経験では数ページずつ進みます。常に日本の制度と比較するために討論を挟みます。だいたい1章のみの読破で終わりがちですが、できれば2章くらいを読み進めたい。 ちなみに、英語(=語学)の読解は慣れているかどうかだけが勝負の分かれ目なので、上記の通り、普段から勉強しているかどうかを簡単に計る共通の指標としてけっこう重要なのですが、なぜか例年、受講者は若干名です。 参考までに「比較政治研究」として開講した頃の履修者数を列挙すると、初年度の20年前は“The Drama of Democracy”という米国の大学生向けテキストの連邦主義と人権の辺り(2名)、2003年度はFiorina共著の第6章「個人参加」(3名)、04年度は確か受講者がなく、05年度は第3章「連邦主義:国、州、自治体間の権限分割」(院生と法学部生の2名)、06年度は第2章「立憲民主体制の確立(合衆国憲法制定前後)」を受講生2名と読破し、07年度は第20章「対外政策・国防」(1名)、08年度は第4章「アメリカの政治文化」(2名)、09年度は第11章「議会選挙」(2名)、2010年度は第5章「世論」(2名)、11年度は第16章「市民的自由」(2名)の各章をほぼ読み終えてきました。 法比較研究になった2012年度と13年度はテキストを法学系に変えたせいか受講者が居ませんでした。2014年度はシカゴ社会学の古典の一つ『不適応少女』(1923)の第4章「少女たちの堕落化」(1名)を読みました。2015,16,17年度と開店休業。2018年度は1名来て第4章「非行少年の人権」を読みかけたものの、食堂のバイトが忙しいとかで3回目で頓挫。2019年度は単位度外視の猛者を含めて3名参加で、現代思想の碩学デリダの死刑論講義から未邦訳の部分を読破しました。2020年度も4年生以上が3名、2021年度は卒業生が3名と梁山泊状態になっていましたが、2022年度はゼロで、2023年度は2名でした。 |
教科書・参考書等 |
正義(画)像の読み解きに関する英書講読。テキストのプリント配布、ディスカッション歓迎。 テキスト:Judith Resnik & Dennis Curtis, Representing Justice, Yale UP, 2011 →次項のサイトに例示。 https://yalebooks.yale.edu/book/9780300110968/representing-justice https://www.amazon.co.jp/Representing-Justice-Controversy-City-States-Democratic/dp/0300110960/ref 参考までに2019度は、Jacques Derrida, "The Death Penalty Volume 2", the Uni. of Chicago Press, 2017(未邦訳)の第3講 Januarry 10, 2001, pp.56-82、 2020年度は、Jacues Derrida, Before the Law, 2018 translated by Van Reenen & De Villeと Jacque de Ville, Mythology and the Images of Justice, 23-3 Law &Literature 324–364, 2011年、 2021年度は、Daniel Heller-Roazen, ABSENTEES: On Variously Missing Persons, Zone Books, 2021年 Ch.2 蒸発規則、4 浮遊する心象風景、5 頭部の縮減、7 屈辱の果てに、 2022年度は、Deborah Tarn Steiner, IMAGES IN MIND: statues in archaic and classical greek literature and thought, Princeton Uni. Press, 2001年、 2023年度は、JUDITH RESNIK & DENNIS E. CURTIS, Representing Justice: From Renaissance Iconography to Twenty-First-Century Courthouses, Yale Law School 151-2 PROCEEDINGS OF THE AMERICAN PHILOSOPHICAL SOCIETY 139-183, 2007. http://henrylabarrejayne.weebly.com/photography.html を読みました。今年度は、その増補版にしようかと考えています。連邦最高裁の史誌に掲載された講演原稿です。Resnik & Curtis, Inventing democratic courts, A new and iconic Supreme Court, 38-2 J of Supreme Court History 207-251, 2013年。 |
授業で使用する メディア・機器等 |
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【詳細情報】 |
英文テキストは複写して配布,TEAMS上に掲載する資料・画像教材 Lillian Goldman Law Library at Yale Law School Home » Collections » Representing Justice https://documents.law.yale.edu/representing-justice 場所:127 Wall Street, New Haven, CT 06511 U.S.A. https://www.google.co.jp/maps/@41.3115909,-72.9281385,3a,90y,21.73h,102.67t/data=!3m6!1e1!3m4!1sAeqKgYLI0SWcY6U8jKpU0A!2e0!7i13312!8i6656?hl=ja The Yale University Art Gallery. https://artgallery.yale.edu/ >検索「Justice」関連の収蔵物45件、行事6件(社会正義2、環境的、人種的、刑事司法2) 場所:https://www.google.com/maps/@41.3082035,-72.9309743,3a,75y,21.23h,104.53t/data=!3m6!1e1!3m4!1sN21ovIbXs-7va2peP0ngkw!2e0!7i16384!8i8192 |
授業で取り入れる 学習手法 |
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予習・復習への アドバイス |
第1回 講読するテーマ(テキストの章)を選択 第2回から14回まで テキストの解読。単語調べは必須。調べてきても訳語の選択を誤っていることがほとんどです。専門用語に限らず、平素な英文を正確に読めていないことが多い。テキスト記述の背景となっている社会認識が薄弱だからだと感じます。 第15回 まとめ。合衆国の制度は日本のそれと比較可能かどうか、もし、可能であれば、どのように比較評価するかを討論するので、関連する新書本くらいは何冊か読んで準備されたい。とくに日本の制度について知らない場合もこちらにもけっこうあるので、これはもう双方が調べておく他はない。 |
履修上の注意 受講条件等 |
教科に関する科目。新聞や雑誌の「購読」ではなく、無料配布の資料を解説付きで読み進める「講読」形式です。 不明な語句はその場で即座に教えます。とにかく英語の文書に親しむことです。それと、教室内に飲食物の持ち込みは固くお断りします(第1種衛生管理者。阪神バスの出発前アナウンス風に響く)。 |
成績評価の基準等 |
毎回数頁ずつ口頭で英文和訳をしてもらうので、その予習内容と質疑応答の態度で主に評価(5点×14回=70点)。最後に読み残した部分から1頁程度をの翻訳してもらい、それに日米比較のコメントを付けた期末レポートをTEAMS上に投稿してもらうことで、30点。合計100点で評価する。 |
実務経験 |
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実務経験の概要と それに基づく授業内容 |
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メッセージ |
おそらく講読方式が大学授業の醍醐味だと思いますので、知的好奇心の旺盛な方が履修してくれると嬉しいです。34年ほど前に留学直後の若手教員や関口存男先生のテキスト『ドイツ語講座』からの示唆を受けて、原文の語順を維持しながら同時通訳的な数語ずつの逐語訳を試みると、英米系の論理的思考の訓練にもなって興味深いです。 昨年度から旧端末室のK208を利用し始めて、何かと便利になったはずです。\(゜ロ\)(/ロ゜)/ 大学設置基準第21条2項によれば「1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準」とすることになっているので、この授業で2単位を取得するには、 授業の30時間とは別に60時間の「学修」を各自でしてください。この授業ではレポートの作成がそれに該当するでしょう。なお、広島大学通則第19条の3にも上記と同趣旨の条項が入っています。 |
その他 |
関連URL1 アメリカ合衆国連邦最高裁の歴史協会 https://supremecourthistory.org/journal-of-supreme-court-history/ |
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。 回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 |