年度 |
2024年度 |
開講部局 |
教育学部 |
講義コード |
CC222405 |
科目区分 |
専門教育科目 |
授業科目名 |
代数学研究法I |
授業科目名 (フリガナ) |
ダイスウガクケンキュウホウI |
英文授業科目名 |
Research Methods in Algebra I |
担当教員名 |
北臺 如法 |
担当教員名 (フリガナ) |
キタダイ ユキノリ |
開講キャンパス |
東広島 |
開設期 |
3年次生 前期 2ターム |
曜日・時限・講義室 |
(2T) 火1-4:教L107 |
授業の方法 |
講義 |
授業の方法 【詳細情報】 |
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講義中心、板書多用 |
単位 |
2.0 |
週時間 |
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使用言語 |
J
:
日本語 |
学習の段階 |
3
:
中級レベル
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学問分野(分野) |
25
:
理工学 |
学問分野(分科) |
01
:
数学・統計学 |
対象学生 |
教育学部生,特に数理系コース |
授業のキーワード |
代数,代数学,演算,整数,環,可換環,非可換環,イデアル,加群,剰余環,準同型定理,標数 |
教職専門科目 |
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教科専門科目 |
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プログラムの中での この授業科目の位置づけ (学部生対象科目のみ) | 専門科目 |
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到達度評価 の評価項目 (学部生対象科目のみ) | 中等教育科学(数学)プログラム (知識・理解) ・数学教育の教科内容に関する基本的な知識を理解する。 (能力・技能) ・数学教育の代数,幾何,解析,統計,コンピュータなどの教科内容に関する数学的な思考力を身に付け,活用することができる。 |
授業の目標・概要等 |
・中等教育数学科の代数内容を把握する ・環論・可換環論の初歩を理解する ・中等教育数学科で登場する「演算できる集合」がどういうタイプの環かを理解する ・整数における素数,素因数分解,約数,倍数といった概念を,イデアル,素元,一意分解整域といった可換環論の概念を通して理解する ・整数に関するユークリッドの互除法を環論の言葉で整理し深く理解する ・整式・多項式の概念を環論の視点で理解する ・高等学校数学科における複素数・分母の有理化を環論の視点から理解する |
授業計画 |
第1回: 群論の復習,整数の最大公約数と素因数分解とユークリッドの互除法,ユークリッドの互除法に本質的に必要なものは何だったのか,環の定義 第2回: 環の例を見つけよう 第3回: 整数環,多項式環,体,整域 第4回: 環準同型,環準同型の核 第5回: イデアル,素イデアル,極大イデアル,生成元,生成系,単項イデアル 第6回: 倍数・約数・倍元・約元とイデアル,単項イデアル整域,ユークリッド整域とユークリッドの互除法 第7回: 剰余群の復習,剰余環 第8回: 環準同型定理,第2同型定理 第9回: 標数,正標数 第10回: 素イデアル,極大イデアル,選択公理,Zornの補題,極大イデアルの存在 第11回: 剰余環,単項イデアル整域の素イデアル,素元 第12回: 素元と既約元,単項イデアル整域,一意分解整域 第13回: 中国式剰余定理 第14回: では複素数体とは何だったのか,方程式と体拡大,分母の有理化と体拡大と剰余環 第15回: 方程式と解の対称性
第16回: 期末試験 不定期にレポートを課す.
授業計画 (特に最後の話題) は,受講者の理解度や毎回の授業の場でのキャッチボールにより,多少前後する,あるいは変更の可能性がある. |
教科書・参考書等 |
教科書は指定しない. 参考書としては例えば次: ・代数入門(新装版) ―群と加群 (数学シリーズ), 堀田良之, 裳華房, 2021年. ・代数系入門, 松坂和夫, 岩波書店, 1976年. ・代数学2 環と体とガロア理論 (代数学シリーズ), 雪江明彦, 日本評論社, 2010年. ・整数論1 初等整数論からp進数へ, 雪江明彦, 日本評論社, 2013年. ・代数と数論の基礎 (共立講座 21世紀の数学), 中島匠一, 共立出版, 2000年. ・環論, これはおもしろい ―素因数分解と循環小数への応用― (数学のかんどころ), 飯高茂, 共立出版, 2013年. ・復刊 可換環論, 松村 英之, 共立出版, 2000年. |
授業で使用する メディア・機器等 |
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【詳細情報】 |
必携パソコン |
授業で取り入れる 学習手法 |
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予習・復習への アドバイス |
復習の際は必ず手と頭を動かすことと,例を作ることを実践しよう.また,質問をすることが大切である.
第1回:整数や多項式の最大公約数(元)を求めるために素因数分解や因数分解,ユークリッドの互除法などを行ったが,本質的に必要なものは何だったのかを考えることで環を見いだそう. 第2-3回:これまで触れた数学的対象の中で環であるものを多く見つけること. 第4回:既に学んだ群準同型と比較しながら環準同型を理解しよう. 第5回:群のときは部分群を考えたが,環の場合は部分環よりもイデアルという部分集合を見ることが重要.素イデアルの定義をよく観察し,素数の重要な性質と比較する.イデアルとして生成するという考え方を理解しよう. 第6回:整数の倍数・約数と対応させ,それらをイデアルの言葉で表現しながら単項イデアル整域になじもう.ユークリッドの互除法が実行できる整域として環の条件を捉えよう. 第7回:群論で剰余群を考えたように,環論でも剰余環を考える.環ではイデアルを部分群として剰余群を考えると,環の構造をもっていることを理解しよう. 第8回:群準同型と同様に環準同型定理が成立する.様々な例を考えてみること. 第9回:整域について標数という概念で大きく分類ができることを理解しよう.整数・有理数・実数・複素数という高等学校までの数の世界では出会わなかった正標数という世界が広がっていることを知ろう.Z/nZが整域になるときの整数nとは何だろうか. 第10回:環Aを固定してその上の代数 (A代数) という見方があることに触れ,特に,それが有限生成であるという概念を理解しよう.どんな例があるだろうか. 第11回:素イデアル,極大イデアルで剰余環を考えるとどんな種類の環ができるのか理解すること.素元が,素数に対応した概念であることを理解する. 第12回:素元と既約元の違いを例を通して理解しよう.一意分解整域が素因数分解と同様のことができることを理解しよう.整数において1を素数に入れない定義を採用するのはどこに対応しているのか考えよう. 第13回:整数の場合で学んだ「互いに素」という概念や,中国式剰余定理を整数環だけではない,環論の言葉で理解しよう. 第14-15回:環論に入門したところで複素数という数概念の拡張という現象を見つめ直そう.数の拡張と方程式とは,数学の歴史に切っても切り離せないものである. |
履修上の注意 受講条件等 |
集合と写像に関する基礎知識を身につけていること.また,代数学概論演習に相当する群論の初歩を身につけていること. また,3年次「代数内容研究」の受講の人数制限の際にこの授業の途中の成績を判断材料に入れる. |
成績評価の基準等 |
期末試験を70%,小テストを15%,レポートを15%として成績を判定する. |
実務経験 |
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実務経験の概要と それに基づく授業内容 |
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メッセージ |
中等教育数学科において幾度となくいたる場所に登場する整数,多項式,各種数概念の性質・構造について,環論の視点から,より深い理解を習得しよう. |
その他 |
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すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。 回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 |