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年度 2024年度 開講部局 教育学部
講義コード CC221104 科目区分 専門教育科目
授業科目名 幾何学概論演習
授業科目名
(フリガナ)
キカガクガイロンエンシュウ
英文授業科目名 Practice in Introduction to Geometry
担当教員名 寺垣内 政一
担当教員名
(フリガナ)
テラガイト マサカズ
開講キャンパス 東広島 開設期 2年次生   後期   4ターム
曜日・時限・講義室 (4T) 水1-4:教K102
授業の方法 演習 授業の方法
【詳細情報】
 
全授業において,スライド使用.使用したスライドはすべて授業終了後にmoodleにアップロードします. 
単位 2.0 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 2 : 初級レベル
学問分野(分野) 25 : 理工学
学問分野(分科) 01 : 数学・統計学
対象学生 教育学部生
授業のキーワード 集合,距離空間,位相空間 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
(学部生対象科目のみ)
専門基礎科目 
到達度評価
の評価項目
(学部生対象科目のみ)
総合科学プログラム
(知識・理解)
・当該の個別学問体系の重要性と特性、基本となる理論的枠組みへの知識・理解
(能力・技能)
・課題の考察のために必要な理論・方法を特定する能力・技能

中等教育科学(数学)プログラム
(知識・理解)
・数学教育の教科内容に関する基本的な知識を理解する。
(能力・技能)
・数学教育の代数,幾何,解析,統計,コンピュータなどの教科内容に関する数学的な思考力を身に付け,活用することができる。 
授業の目標・概要等 大学における数学の基礎である集合論の学習に続いて,中等教育における空間概念の一般化・抽象化をめざし,距離空間,位相空間の基礎的な学習を行う.たとえ教育学部生であろうと,数学のほとんどすべての分野の基礎となる「位相」という概念にふれずに卒業することは好ましくない.位相空間というものは,非常に抽象的である.数学の学習において,なにかとイメージを求めすぎるきらいのある教育学部生にあえて抽象化を体験させ,視野を広げること,イメージできないからこそ論理的思考が重要になるということを実感できるように授業において強調する. 
授業計画 第1回:集合論からの復習(集合の演算)
第2回:集合論からの復習(写像,同値関係)
第3回:距離空間(距離関数)
第4回:距離空間(具体的な例)
第5回:開集合
第6回:閉集合
第7回:距離空間の間の連続写像
第8回:点列の収束
第9回:位相とは何か
第10回:内部,外部,境界,閉包
第11回:位相空間の間の連続写像
第12回:相対位相,部分空間
第13回:ハウスドルフ空間
第14回:コンパクト空間
第15回:連結性

期末試験を実施する.原則として,追試は実施しない.期末試験を受験できない場合,単位取得は断念してもらいたい.

点が集まっているだけの「集合」では,2つの点の間には何の関係もなく,ただ離散的なイメージを感じる.しかし,「空間」という言葉からは何らかの広がりを感じとることができるのではないだろうか.その本質は「位相」とよばれるものである.まず,中等教育で扱うxy平面やxyz空間の本質を残した距離空間からはじめて,より抽象的な位相空間へと進む.毎週,授業冒頭に,前回の学習内容を確認するための簡単な小テストを行う.メディアセンターの提供するmoodleを利用し,小テストは終了後,そちらから入手できるようにするので,必要に応じて利用してもらいたい. 
教科書・参考書等 講義形式.教科書を使用するが,教科書はmoodleを通じて配信する.
そのほか,位相空間論に関しては数多くの参考書が存在するので,
各自,図書館などで借りてもらいたい.
参考書:鈴木晋一「位相入門」(サイエンス社),佐久間一浩「集合・位相」(共立出版),内田伏一「位相入門」(裳華房),松坂和夫「集合・位相入門」(岩波書店),志賀浩二「位相への30講」(朝倉書店) 
授業で使用する
メディア・機器等
 
【詳細情報】 全ての授業はスライドを用いて行う.授業後にスライドはmoodleを通じて配信する.また,過去の試験問題もアップします. 
授業で取り入れる
学習手法
 
予習・復習への
アドバイス
第1-2回の授業で最低限必要となる集合の扱いに関して,簡単に復習をする.集合,共通部分,和集合,補集合,ド・モルガンの法則,集合族,写像,像,逆像,同値関係,商集合,濃度に関しては復習してのぞむこと.

以降は,基本的にテキストにそって授業を進行するが,予習の必要はない.むしろ,徹底的に復習をし,その日の授業でわからなかった部分を来週の授業までに,なんとしてでも解決しておく姿勢を期待する.

第3-4回:距離空間について学習する.小学校以来,距離という概念には親しんでいるが,数学として距離を厳密に捉えなおす作業から始まる.これにより,さまざまな集合に対して,距離の概念を導入することができるようになる.

第5-6回:距離空間において基本的な役割をになう開集合と閉集合の概念を学習する.開集合のもつ個々の性質ではなく,開集合全体のなす集合族のもつ性質を見極めることが,つづく位相空間の導入への動機となることを押さえてもらいたい.

第7回:距離空間の間の連続写像について学習する.1年次に学習したイプシロン・デルタ論法による連続関数の概念を一般化したものである.連続という言葉にとらわれてはいけない.しょせんは目に見えない距離空間という世界を舞台に展開している理論だから.

第8回:数直線における数列の収束を,距離空間における点列の収束という概念に一般化する.1年次に学習したイプシロン・エヌ論法の自然な一般化である.

第9-10回:いよいよ位相空間を導入する.距離空間において,開集合全体のなす集合族がもつ性質を逆手にとって,位相の公理系におくというアイデアである.位相は目には見えない.それは集合に設定する「構造」なのである.

第11回:連続写像と同相写像を学習する.距離空間の間の連続写像の概念よりもさらに一般化され,抽象的なものになる.同相写像で移りあう位相空間同士を同相であるといい,位相空間としては区別されない.

第12回:位相空間の部分集合に自然に誘導される位相が相対位相である.

第13回:ハウスドルフ空間とは,いってみれば十分に開集合がある位相空間と思えばよい.

第14回:コンパクト性は理解するのが難しいと評判である.位相空間がコンパクトであるとは,有限個の開集合からなる開被覆をもつことでは断じてない.
ここを間違えてはいけない.どんな開被覆を与えても,それの有限部分開被覆を選べるというのが定義である.

第15回:最後に,位相空間がつながっているという性質をとらえる連結性について学習する.つながっているという言葉は,ありふれた日常用語なわけだが,位相空間に対して定義される連結性は,開集合の言葉で記述される. 
履修上の注意
受講条件等
教科専門科目(幾何学).
復習を欠かさないこと.集合,写像に関する基礎知識を要する.開講までに自習,復習しておくこと.教室においては前方から着席すること.自ら進んで後方に着席するような受講生は不要である. 
成績評価の基準等 ・単位認定に関しては,期末試験の成績を100%として判定する. 
実務経験  
実務経験の概要と
それに基づく授業内容
 
メッセージ この授業で扱うレベルの位相空間論はすでに確立しているのであるから,きわめて異色の理論構築でもしない限り,理学部数学科で講義されようと,教育学部数理系コースで講義されようと同一内容になるのは当然である.しかしながら,教育学部開講の授業として,初等中等教育にみられる図形概念の扱いとの比較をあえて頻繁に述べる.たとえば,円とは何か,なぜ円は丸いのか,それとも丸いものが円なのか.そういった素朴な疑問の裏に潜む距離空間の考えなどを述べる予定である.また,主として教員をめざす受講生が多いことから,授業中には積極的な発言・質問を求める.受動的な姿勢で授業に参加することに慣れたまま,教員になってほしくないからである.
また,例年のことだが,理解に困難を示す学生がみられる.そもそも「集合の集合」という集合族の概念が理解できていないように思える.だが,あきらめずに,一人で考え込まず,私や友人と徹底的に議論する意気込みさえあれば,必ず理解できるはずだ.
また,数理系コース学生向けの3年次「幾何内容研究」の受講制限において,この授業の成績は判断材料とする. 
その他 興味のあるものは,下記のwebsiteなどを参照してほしい。
http://mathworld.wolfram.com/TopologicalSpace.html
http://www-gap.dcs.st-and.ac.uk/~history/Mathematicians/Hausdorff.html
http://www-gap.dcs.st-and.ac.uk/~history/HistTopics/Topology_in_mathematics.html 
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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