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年度 2024年度 開講部局 総合科学部
講義コード AQN50502 科目区分 専門教育科目
授業科目名 熱力学I
授業科目名
(フリガナ)
ネツリキガク I
英文授業科目名 Thermodynamics I
担当教員名 戸田 昭彦
担当教員名
(フリガナ)
トダ アキヒコ
開講キャンパス 東広島 開設期 2年次生   前期   1ターム
曜日・時限・講義室 (1T) 金7-8:総K202
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
 
講義中心。授業は原則として対面で実施する。必要や状況に応じて、LMS(Moodle)を利用したオンデマンド型授業を行う場合もある。 
単位 1.0 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 2 : 初級レベル
学問分野(分野) 25 : 理工学
学問分野(分科) 06 : 物理学
対象学生
授業のキーワード 温度,熱力学の基本法則,エントロピー 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
(学部生対象科目のみ)
普遍性と実用性において理系学問共通の基礎である熱力学について学ぶ。 
到達度評価
の評価項目
(学部生対象科目のみ)
総合科学プログラム
(知識・理解)
・当該の個別学問体系の重要性と特性、基本となる理論的枠組みへの知識・理解
(能力・技能)
・課題の考察のために必要な理論・方法を特定する能力・技能

国際共創プログラム
(知識・理解)
・当該の個別学問体系の重要性と特性、基本となる理論的枠組みへの知識・理解
(能力・技能)
・課題の考察のために必要な理論・方法を特定する能力・技能 
授業の目標・概要等 「熱力学」では「温度」が関与する巨視的現象を扱う。
 巨視的な現象とは,膨大な数(例えば1モル)の分子・原子・素粒子や,電磁波・光などの輻射の集団が起こす現象である。(原子論に基づく統計的振る舞いを前提とする「統計力学」の経験的な根拠を「熱力学」が与える。)
 私たちが普段の生活で経験している「温かさの異なる2物体を接触させると,必ず一方向に変化が生じ,最終的には2物体とも一様な温かさの状態に至る」ことに基づき,全体としてはどのようにしても元に戻すことができない不可逆過程が存在することを認め,エネルギー保存則の前提の下,論理的に整理することで,諸法則がまとめられ,応用に活かされている。
 物質の状態変化や化学反応,電磁波の輻射が関与しうる全ての現象・分野の基礎となる。(巨視的な系である地球環境あるいは宇宙も適用対象となり,高い普遍性を有する。)
 「熱力学」は、その普遍性と実用性において理系分野の基礎をなし、物質の状態・性質や化学平衡のみならず、これらの非平衡変化を理解する上でも必要となる。熱力学Ⅰでは、熱力学の基本法則や基礎概念について導入することを目的とする。

 
授業計画 第1回 熱力学とは
熱力学でとはどのような学問分野であるのかについて歴史的な発展過程と共に説明する。

第2回 熱平衡と温度
熱力学的な平衡状態、熱平衡の指標としての温度、圧力・体積・温度などの熱力学的状態量の関係について解説する。
・熱平衡状態
・温度
・状態量(状態変数)
・状態方程式

第3回 熱力学第1法則と第2法則:
エネルギー移動の形態である熱、力学的エネルギー保存則の拡張としての熱力学第一法則について説明し、準静的過程という概念の導入、第一法則から得られる熱容量の表式、理想気体の断熱変化について解説する。また,自然界で起こりうる変化についての法則である熱力学第二法則について解説する。
・仕事
・熱
・熱の仕事当量
・内部エネルギー
・熱力学第1法則
・熱力学第2法則
・クラウジウスの原理
・トムソンの原理
・熱機関
・サイクル
・熱源
・可逆・不可逆過程
・永久機関の不可能性


第4回 可逆過程1(具体的な可逆操作,理想気体):
可逆過程について,仕事や伝熱の具体的な例を示すことで,昇降温時の熱容量を定義し,理想気体の等温変化,断熱変化についてまとめる。また,可逆な熱機関として,理想気体のカルノーサイクルとスターリングサイクルの具体例を示す。
・可逆過程とは
・昇降温時の熱容量
・断熱変化
・理想気体の性質
・可逆熱機関としての理想気体のカルノーサイクルとスターリングサイクル


第5回 可逆過程2(一般の過程,エントロピーの導入):
一般の可逆過程について,エントロピーを導入する。
・カルノーの定理1
・熱力学温度
・クラウジウスの定理1
・エントロピーの定義
・理想気体のエントロピー


第6回 不可逆過程(エントロピー増大の原理):
不可逆過程について,伝熱量と関係する状態量𝑆が不可逆性の指標となることを,第2法則の表現であるエントロピー増大の原理として示す。
・カルノーの定理2
・クラウジウスの定理2
・エントロピー増大の原理
・理想気体の断熱自由膨張


第7回 熱力学第3法則:
熱力学第三法則について解説する。
・熱力学第3法則
・絶対零度の到達不可能性

第8回(45分) まとめ
本授業で解説した項目について総括する。

毎回の授業後半に理解度を確認することを目的として小テストを行う。 
教科書・参考書等 講義形式 講義中心
講義資料を配付する。
参考書 三宅 哲 著「熱力学」(裳華房)
Enrico Fermi 「Thermodynamics」 Dover Publications 
授業で使用する
メディア・機器等
 
【詳細情報】 リンク先配付資料
https://home.hiroshima-u.ac.jp/atoda/Thermodynamics/all3016.html
 
授業で取り入れる
学習手法
 
予習・復習への
アドバイス
全般にキーワードに関係した授業内容についてよく理解しておくこと。
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第1回授業後
熱力学の学問分野の特徴について理解しておくこと。
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第2回授業後
状態量の数学的意味について理解しておくこと。
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第3回授業後
第一法則,第二法則の内容について理解しておくこと
第二法則の各表現間の等価性の対偶による証明について理解すること。
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第4回授業後
理想気体の定積熱容量、定圧熱容量、断熱変化について理解しておくこと。
カルノーサイクルにおける状態間の関係式について理解すること。
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第5回授業後
カルノーの定理,クラウジウスの等式について理解すること。
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第6回授業後
不可逆過程におけるカルノーの定理,クラウジウスの不等式,エントロピー増大則について理解すること。
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第7回授業後
絶対零度をエントロピーの原点とする熱力学第三法則について理解すること。
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第8回授業後
熱力学法則全般についての理解を深めること。
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履修上の注意
受講条件等
※平成29年度以前入学生は必ず,「熱力学Ⅱ」とセットで受講してください。セットで受講し,両方の単位を修得した場合のみ「熱力学」として単位認定されます。一方の科目のみの履修では単位認定されませんのでご注意ください。 
成績評価の基準等 期末試験を70%、レポート・授業参加態度を加点要素として総合的に評価する。 
実務経験  
実務経験の概要と
それに基づく授業内容
 
メッセージ 自然界で普遍的に成立する熱力学法則についての理解を目指す。 
その他   
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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