年度 |
2024年度 |
開講部局 |
総合科学部総合科学科 |
講義コード |
AHH05101 |
科目区分 |
専門教育科目 |
授業科目名 |
美学・芸術文化論 |
授業科目名 (フリガナ) |
ビガク・ゲイジュツブンカロン |
英文授業科目名 |
Aesthetics and Art Culture Studies |
担当教員名 |
桑島 秀樹 |
担当教員名 (フリガナ) |
クワジマ ヒデキ |
開講キャンパス |
東広島 |
開設期 |
2年次生 前期 1ターム |
曜日・時限・講義室 |
(1T) 木5-8:総K109 |
授業の方法 |
講義 |
授業の方法 【詳細情報】 |
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・大学のリアル教室での講義中心、板書多用、AV機器多用。 ・万が一コロナなど感染症の再拡大、悪天候などの場合は、急遽Teamsによりオンライン授業に切り替える場合もあります。(※Teamsクラスは、資料配布や出席管理などでも使用するため開設いたします。事前にかならず入室ください。) |
単位 |
2.0 |
週時間 |
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使用言語 |
J
:
日本語 |
学習の段階 |
2
:
初級レベル
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学問分野(分野) |
23
:
人文学 |
学問分野(分科) |
01
:
哲学 |
対象学生 |
2年次生以上 |
授業のキーワード |
美学、芸術学、芸術(アート/技術)、感性、趣味、創造、優美、崇高、天才、想像力、メディア、文化、表象、哲学、美術史 など |
教職専門科目 |
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教科専門科目 |
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プログラムの中での この授業科目の位置づけ (学部生対象科目のみ) | 「感性」を理論化する(美学=「感性(的認識)の学」)という、高校までに存在しなかった「総合科学」的な科目の入門講座。美と芸術の理論展開史(主に西洋の古代~近現代)概説。 |
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到達度評価 の評価項目 (学部生対象科目のみ) | 総合科学プログラム (知識・理解) ・当該の個別学問体系の重要性と特性、基本となる理論的枠組みへの知識・理解 ・個別学問体系の密接な相互関係とその重要性を認識するうえでの必要な知識・理解 |
授業の目標・概要等 |
「美とか芸術(アート)とか(あるいは、それらの歴史)について、この専門分野が成り立った経緯をきちんと踏まえて理論的に勉強してみたい」という人のための入門講座です。「美学」や「芸術学」の思索の歴史を、アカデミックなレヴェルで専門的・体系的に勉強にしてみたくなった人は、ぜひ積極的な参加を。 この講義は、広義の人間文化論に属する「美学」「芸術学」「感性哲学」「文化創造論」へのいわば登竜門と考えてください。 |
授業計画 |
本講義は、美と芸術をめぐる様々な問題を、過去の人々がどんな風に考え理論化してきたかを全般的に紹介する入門講座。「美しさ」とは何か、「アート」とは何か、こうした問題を哲学的に考える訓練の道場。あるいは、人間の「感性」的営みの歴史的考察の場といってもよいだろう。
・第1回-第2回 イントロダクション:「美学(aesthetics)」「芸術学(science of art)」という学問分野について ・第3回―第5回 プラトン(詩人追放論/三段模倣説)とアリストテレス(詩学/制作論=悲劇論)、そしてアウグスティヌス(時間論/存在論) 例問:プラトンの「詩人追放論」を、彼の「哲人政治」思想との関連で説明せよ。その際、アリストテレスの芸術観・哲学観と比較することが望ましい。 ※アリストテレスの演劇論との関連で、ソフォクレス原作の悲劇『オイディプス』の上演ビデオ(蜷川幸雄演出、野村萬斎主演)を鑑賞することもあります。 ・第6回―第8回 ルネサンスの天才芸術家たちとその哲学(万能科学者のレオナルドとヴィーナスの画家ボッティチェルリ) 例問:15世紀ルネサンスにおいて、レオナルドが「万能の(天才)画家」というような概念であらわそうとした芸術観を、特に画家の地位の変化との関連から説明せよ。 ・第9回―第11回 ホガース(優美論)とバーク(崇高論)、あるいは近世初期の「感覚主義(趣味論)美学」の興隆 例問:ルネサンス末期のミケランジェロから18世紀イギリスのホガースまで貫かれた「蛇状曲線」の意味を、近代美学の勃興との兼ね合いから説明せよ。 例問:17世紀から18世紀のヨーロッパでの美術アカデミーの形成と関連した「色彩論争」について説明せよ。 ・第12回―第14回 バークから、カントへ―近代「美学」の確立と「崇高」論 例問:美的カテゴリ―としての「崇高」の理論化過程について、E・バークおよびI・カントが書いた哲学的著作物のもつ特性を指摘しつつ、その変遷が分かるように説明せよ。 ・第15回 まとめ ※最終授業日に、期末確認レポート(最終試験)を課す場合もあります。 以上のような話題(および問い)について考えます。理論形成野背後にあった、具体的な芸術状況・歴史状況を、可能なかぎり探りながら講義を進めます。講義の中心は、西洋美学ないし西洋芸術論の歴史が中心ですが、折にふれて(とくに後半の現代芸術にかんしては)グローバルに、日本やオセアニアをふくむアジア・アフリカ地域の芸術実践の状況にも言及予定(美術館・博物館・資料館の収蔵品と展示の学問としての「ミュージアム論」との関係で)。
授業の中盤~終盤に、復習&試験準備のための小レポートを1回実施予定です。 そこで出題した問題と類似の問題が期末試験に出ます。学期末試験(またはレポート)は、論述式(80分)で、授業で取りあげた主題の理解にかかわる事項・内容の確認の予定。
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教科書・参考書等 |
[主要文献一覧] 当津武彦編『美の変貌』(世界思想社)、神林恒道ほか編『芸術学ハンドブック』および『芸術学の軌跡』』(ともに勁草書房)、今道友信『美について』(講談社現代新書)、佐々木健一『美学辞典』(東大出版会)および『美学への招待』(中公新書)、谷川渥『美のバロキスム―芸術学講義』(武蔵野美大出版局)、小田部胤久『西洋美学史』(東大出版会)、濱下昌宏『主体の学としての美学』(晃洋書房)、上倉庸敬『フランス美学―涙の谷を越えて』(創文社)、安西信一『イギリス風景式庭園の美学』(東大出版会)、岩城見一『感性論―開かれた経験の理論のために』(昭和堂)、田中純『都市の詩学』(東大出版会)、ウーティッツ『美学史』(東大出版会)、C・コースマイヤー『美学―ジェンダーの視点から』(三元社)、H・W・ジャンセン『西洋美術の歴史』(創元社)、池上忠治ほか編『西洋の美術』(勁草書房)、島本浣ほか『絵画の探偵術』(昭和堂)、石森秀三『博物館概論』(日本放送出版協会)など。
※ なお、担当教員による以下の著書も参照されたい。 ・桑島秀樹『崇高の美学』(講談社選書メチエ、2008年5月刊) ※「崇高」をめぐる洋の東西の系譜をたどる著作。 ・桑島秀樹『生と死のケルト美学―アイルランド映画に読むヨーロッパ文化の古層―』(法政大学出版局、2016年9月刊) ※「アイルランド映画」分析をきっかけに、北方の装飾デザイン思考の系譜をさぐる書。 ・桑島秀樹「右脳的人間、未来をひらく〈美学〉のかたち―アート思考とアイリッシュ・ケルトの感性文化」(共著:広島大学大学院総合科学研究科編・佐藤高晴責任編集『左と右・対称性のサイエンス(叢書インテグラーレ015)』丸善出版、2017年1月刊、第7章 所収)。 ※桑島による上記二つの著書に依拠しながら、「美学」という学問の面白さ/特異性をわかりやすく示したもの。 ◎『生と死のケルト美学』は広大生協の書籍部であつかっています(『崇高の美学』は、版元品切れ/重版未定です。図書館等で!)。
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授業で使用する メディア・機器等 |
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【詳細情報】 |
板書中心の講義(適宜スライド・ビデオ等を上映予定) |
授業で取り入れる 学習手法 |
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予習・復習への アドバイス |
「自分なり」にノートをとること。「自分なりに」とは、教員の板書事項以外にも、気になったところ、発見したこと、疑問に思うこと等を、積極的にメモすることの謂い。それのみ。あとは、素直で謙虚な勉学姿勢を忘れずに! なお、この授業は入門講座とはいえ、「専門課程」の授業なので、講義のなかで紹介する基礎文献(概説書、教科書の類い)は図書館や書店で探し出し、講義内容をいっそう詳しく勉強・確認するのは当たり前です。 |
履修上の注意 受講条件等 |
美術館やコンサートホールに1回も行ったことのない人でも、美学や芸術学の勉強はできます。そういった人こそ、ぜひ参加してください。高校までの授業科目にはなかった「新しい」思考法―21世紀型の「アート・シンキング」といってもよい―を歴史的に跡づける講義内容です。 |
成績評価の基準等 |
平常点(出席+小レポートなど):50パーセント程度 学期末試験(問題事前通知の予定):50パーセント程度 |
実務経験 |
有り
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実務経験の概要と それに基づく授業内容 |
ここ数年で、東広島市の文化懇話会(座長)、美術館協議会(会長)、社会教育委員会(委員)など地方自治体のミュージアム行政、文化行政にも携わっています。そのような実践的な視座や挿話も入れながら講義を薦めたく思っています。 |
メッセージ |
学期中できれば1回以上、関連する学会・研究会の主催するシンポジウムや例会への参加(任意の自由参加)、美術展や映画鑑賞を促したく思います。大学院の専門科目を受講する諸君には、ぜひとも積極的な参加を期待します。 |
その他 |
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すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。 回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 |