広島大学シラバス

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年度 2023年度 開講部局 教養教育
講義コード 65280001 科目区分 領域科目
授業科目名 釣りの科学-魚と人間のインターラクション-
授業科目名
(フリガナ)
ツリノカガク-サカナトニンゲンノインターラクション-
英文授業科目名 Sport fishing and science: fishes-human beings interactions
担当教員名 海野 徹也,古澤 修一,藤江 誠,吉田 将之,斉藤 英俊,坂井 陽一,河合 幸一郎
担当教員名
(フリガナ)
ウミノ テツヤ,フルサワ シュウイチ,フジエ マコト,ヨシダ マサユキ,サイトウ ヒデトシ,サカイ ヨウイチ,カワイ コウイチロウ
開講キャンパス 東広島 開設期 1年次生   前期   1ターム
曜日・時限・講義室 (1T) 月5-8:総K108
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
 
講義中心
フライフィシングを科学する、ではキャスティングを体験してもらう。 
単位 2.0 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 1 : 入門レベル
学問分野(分野) 26 : 生物・生命科学
学問分野(分科) 03 : 基礎生物学
対象学生
授業のキーワード 遊漁、水産物、魚類、生態学,生理学,保全学,行動学, 外来種,漁業
SDG_13 SDG_14 SDG_15 
教職専門科目   教科専門科目  
教養教育での
この授業の位置づけ
遊漁(釣り)を通じて、水圏生物、特に魚類の生理・生態学を学びながら、魚類の資源や生息環境について理解を深める。また、漁業法、養殖(流通や加工も)、外来種問題など、幅広い知識を習得することで、大学レベルの教養を身につける。
 
学習の成果1.生物学、特に魚類の知識の習得
2.課題を解決するために必要な知識・理解の習得
3.論理的な思考法の向上 
授業の目標・概要等 国民的娯楽である釣り(遊漁)と人間との関わりに焦点をあて、文化的背景や産業への貢献実態を学ぶ。釣りから生じている諸問題(外来種問題や環境問題)を取り扱うことで環境や保全への関心と知識を高める。また,釣りをテーマとして、主に、水産学、生態学、生理学、保全学、行動学、生態防御学などを学ぶことで,教養的教育に相応しい基礎知識を身につける。 
授業計画 1回. 教養学と釣り(海野徹也:統合生命科学研究科)
教養教育としての本講義の背景や意義を理解してもらう。また,オムニバス形式で実施する各授業内容について教養学的視点からイントロダクションを行う。

2回. 遊漁と沿岸漁業(小山 藍:水産庁 資源管理部,漁業調整課,釣人専門官)
同じ海域で同じ資源を利用しながら共存している遊漁と沿岸漁業であるが,それぞれの実態や,漁場で秩序を保つためのルールの実例等を参考にしながら,より良い共存共栄関係の構築に向けて何が必要かを考える。
キーワード:遊漁,漁業,水産資源
参考図書など:
水産庁のホームページもしくはコンテンツの「遊魚の部屋」http://www.jfa.maff.go.jp/j/yugyo/index.htmlの閲覧を勧める。
3回. 釣魚の習性(海野徹也:統合生命科学研究科)
水生生活に特化した魚類の生態、生理、習性などを紹介する。
キーワード:習性、生態、生理、水中生活

4回. 釣魚と感覚器:視覚、聴覚、嗅覚、味覚(海野徹也:統合生命科学研究科)
魚類の索餌に大切な聴覚,嗅覚,味覚などの感覚器の役割について紹介する。私たちヒトの感覚器と対比することで,魚類生理学への理解を深める。
キーワード:魚類生理学,聴覚,嗅覚,味覚
5回. 釣りと生態学(坂井陽一:統合生命科学研究科)
魚類に広くみられる行動・生態の特徴について紹介する。魚類の暮らしの成り立ちを,採餌と繁殖の2つの視点から理解し,釣りが成立する背景への関連付けを進める。釣りの生態学的研究における利用例についても紹介する。
キーワード:なわばり,行動圏,採餌行動,攻撃行動,魚類相調
6回. 釣りと資源保護(斉藤英俊:統合生命科学研究科)
資源保護に先進的な諸外国における釣りライセンス制度について紹介しながら、国内外の釣り対象魚の持ち帰り規定や保護水域などの資源保護に向けた取り組みへの理解を深める。
キーワード:ライセンス制度,持ち帰り規定,保護水域、

7回. 釣りと外来種(斉藤英俊:統合生命科学研究科)
国内における希少魚の現状とその減少要因とその保全戦略を紹介する。特に,地域個体群と遺伝的多様性の保全の意義について概説し,生物多様性についての理解を深める。その一方で,外来種問題の社会的背景と現状,その具体的な対策について詳述する。釣りの対象種であるオオクチバス等による生態的攪乱や,ヘラブナ等の国内外来種による遺伝的攪乱を取り上げ,これらの諸問題への取り組みについて議論する。
キーワード:レッドリスト,保全生物学,遺伝的多様性,外来魚,駆除
8回. 釣り餌学(斉藤英俊:統合生命科学研究科)
埋め立て等の沿岸開発がもたらした干潟の消失により,輸入釣り餌が増加している。釣り餌の供給状況の変遷,環境破壊,釣り人口の増加,輸入種問題について相互理解を深める。
キーワード:干潟,釣餌虫,多毛類,沿岸開発
9回. 魚食のススメ(海野徹也:統合生命科学研究科)
私たちの食卓にあがる魚介類に焦点を絞り、旬の話題、養殖方法、食味、産地偽装問題なに触れる。
キーワード:DNA鑑定、食品、養殖、味、旬

10回. 渓流魚と河川環境(河合幸一郎:統合生命科学研究科)
渓流釣りの魅力と現状について紹介する。特に,イワナの形態の千変万化,臆病かつ大胆な行動,驚くべき生命力について詳述し,この素晴らしい魚を守りぬくための方策を考える。
キーワード:イワナ、川虫、河川改修、河畔林
11回. 魚の行動を読むⅠ(吉田将之:統合生命科学研究科)
魚の行動と心理について,脳科学との関連やヒトとの比較なども含めて紹介する。特に,魚の記憶や学習について詳しく解説する。
キーワード:魚類行動学,魚類心理学,脳,進化

12回. 魚の行動と心理Ⅱ(吉田将之:統合生命科学研究科)
魚の行動と心理について,脳の比較形態や感覚機能と関連させて解説する。また、魚における痛み知覚の可能性や関連した倫理についても紹介する。
キーワード:魚類行動学,魚類心理学,脳,進化
13回. アユの生態と釣り(古澤修一:統合生命科学研究科)
年魚でありながら海と川を往来するアユの生態を紹介し,成長に応じて変化する食性や習性を利用したアユ釣りについて解説する。また,近年,天然河川に蔓延しているアユの冷水病を題材とし,脊椎動物の生体防御について理解を深める。
キーワード:アユ,友釣り,縄張り,生体防御,免疫
14回. フライフィシング(藤江誠:統合生命科学研究科)
ルアーフィッシングと比較しながら、フライフィッシングを成立させる科学について学習する。(1)おもりが無いのに、フライラインはなぜ飛ぶか?(2)毛針は魚にどのように見えるか?主に物理学的な要素を交えて解説する。
キーワード:フライフィッシング、疑似餌、キャスティング、毛針
15回.釣りの未来(斉藤英俊:統合生命科学研究科)
これまでの14回の講義をふり返りながら、未来の遊漁のあり方について理解を深める。

各講義毎に、小テスト、もしくは、課題レポートを提出してもらい、100点満点で評価する。

オムニバス形式のため、担当者の日程の変更もありうる 
教科書・参考書等 遊漁と沿岸漁業
水産庁のホームページもしくはコンテンツの「遊魚の部屋」http://www.jfa.maff.go.jp/j/yugyo/index.htmlの閲覧を勧める。

在来魚と外来魚
川と湖沼の侵略者ブラックバス―その生物学と生態系への影響,日本魚類学会自然保護委員会編,恒星社厚生閣,2002、保全遺伝学,小池裕子・松井正文編, 東京大学出版会,2003
希少淡水魚の現在と未来―積極的保全のシナリオ,片野修・森 誠一編集,信山社出版 ,2005

釣りと生態学
魚類の繁殖戦略1,桑村哲生・中嶋康裕編,海游舎
1996,♂♀のはなし さかな,多紀保彦・奥谷喬司編著,技報堂出版,1991
漁具の漁獲選択性,日本水産学会編,恒星社厚生閣,1979

釣りと資源保護
外来種ハンドブック,日本生態学会編,村越興正・鷲谷いづみ監修,地人書館,2002
海の外来生物,日本プランクトン学会・日本ベントス学会編,東海大学出版会,2009
参考図書など:『メジナ釣る?科学する?,海野徹也・吉田将之・糸井史郎編著,恒星社厚生閣,2011』の特に,3-6オキアミのない国のメジナ釣り,6-2資源保護先進国に学ぶ(斉藤英俊)を参照
オーストラリアNSW州のフィッシングライセンスのホームページ(http://www.dpi.nsw.gov.au/fisheries/recreational/publications/fishing-guides2/guide)を予め閲覧しておくこと。

渓流魚と河川環境
参考図書など:瀬戸際の渓魚たち,佐藤成史、つり人社,1998(入手困難)

アユの生態と釣り
参考図書など:『アユの科学と釣り,片野修ほか編著,学報社,2011』の特に,「4.アユの生体防御を考える(古澤修一)」を参照
『魚類の免疫系、水産学シリーズ135、日本水産学会監修、恒星社厚生閣、2003』をお願いします。

魚の行動を読む
参考図書など:魚だって考える―キンギョの好奇心、ハゼの空間認知(吉田将之,築地書館,2018),『動物は何を考えているのか?日本比較生理生化学会編,共立出版,2009』の特に1−5「サカナの記憶と学習(吉田将之)」を参照

釣魚と感覚器
参考図書など:魚類生理学の基礎(会田勝美編,恒星社厚生閣,2005),クロダイの生物学、チヌの釣魚学(海野徹也,成山堂書店,2010)
 
授業で使用する
メディア・機器等
 
【詳細情報】 配付資料,スライド、映像
 
授業で取り入れる
学習手法
 
予習・復習への
アドバイス
提示した参考資料ならびに図書を用いて予習すること 
履修上の注意
受講条件等
講義開始から20分以後の聴講は認めない。
課題の提出期限は厳守(余裕を持って提出すること)。
やむ得ない理由で欠席する場合は、教養教育のカイドラインに従って手続きすること。メールによる欠席届は認めない。 
成績評価の基準等 受講態度、講義毎のテスト、レポート(100点満点)、試験など、総合的に評価する 
実務経験  
実務経験の概要と
それに基づく授業内容
 
メッセージ 遊漁だけでなく、生物、魚、自然環境、食、生態、保全などに興味ある人にも聴講可能 
その他 【受講希望者が定員を超過したときは受講者抽選を行う可能性があります。】
【※平成25年度以前入学生が履修し,単位を修得した場合は総合科目への読替が行われます。】 
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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