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年度 2020年度 開講部局 教養教育
講義コード 62153007 科目区分 領域科目
授業科目名 日本国憲法
授業科目名
(フリガナ)
ニホンコクケンポウ
英文授業科目名 Japanese Constitution
担当教員名 畑 浩人
担当教員名
(フリガナ)
ハタ ヒロト
開講キャンパス 東広島 開設期 1年次生   後期   4ターム
曜日・時限・講義室 (4T) 月5-8:総L101
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
 講義中心。ただし、教室外であっても 授業用Website, Bb9 (Black Board Learn R9.1) を使って質疑応答や資料閲覧、そして学生独自の調査報告など積極的な学修活動をいつでも可能な状態にしている。 
単位 2 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 1 : 入門レベル
学問分野(分野) 24 : 社会科学
学問分野(分科) 01 : 法学
対象学生 新聞の政治面を読んで理解できる方。「国家と社会」の役割分担や「国家と市民」の緊張関係といったテーマに関心のある方
授業のキーワード 基本的人権に対する制約・規制の限界、立憲主義(国家権力の制限)、統治機構、福祉国家、表現の自由、法の支配、個人の尊厳、最大の尊重、最小限の国家規制、より制約の少ない Less Restirictive Alternative 代替手段の模索・検討・可及的採用。 
教職専門科目   教科専門科目  
教養教育での
この授業の位置づけ
 社会科学的思考の実践編。言い換えますと、事実に対する精確な「認識」と、複数の観点を踏まえた上での論理的かつ公正な「評価」を行う訓練です。
 また、同じ教養コア科目の「政治学の世界」や「法と市民」などと相互に補完しあう関係にあります。とくに憲法は国法とか政治法とも呼ばれますので、政治学の基礎知識を事前にもっていたほうが、各条文の背景や裁判例の内容を理解しやすいと思います。同時進行でも構いません。 
学習の成果 この授業で学修体験を深めることにより、我々の生きる世界には必ずしも国家の支配に服さない個人の領域や社会独自の営みが実在しており、そしてそのような生活領域は不断の努力や公の手続によって自発的に主張・確認して意識的に擁護しつづけて手許におかない限り、容易に多数派の権力から侵害されてしまうのだ、という(普段は空気のようで気づかれませんが)緊急事態に気づくはずです。
 なお、小・中・高時代のように受け身の「学習」ばかりしていては、それこそ国家の言いなりになったまま、最低限ほどほどの知識レベルで満足させられているだけかもしれませんので、せめて自由闊達な大学に所属している期間くらいは、御自分の関心の赴くまま貪欲に「学修」(=知識の獲得)していきましょう! 国立大学法人の教員もまだまだ国家の末端機関ですから、解りやすい話には騙されないようくれぐれも注意が必要です。 
授業の目標・概要等  日本国憲法の人権編(主に第3章 国民の権利及び義務)について、その論理構成と運用実態を中心に概説します。とくに、憲法訴訟の裁判例(の抜粋または要約)を実際に読んでみる作業を通じて、憲法の生態を具体的かつ詳細に理解してもらいます。
 これらの学修活動の積み重ねによって、現代憲法の理論と実践に関する知識を深め、かつ、国家権力の限界についての自覚(=立憲主義の思考枠組)も獲得できるでしょう。ひいては国家体制のあり方(憲法のいわゆる統治機構編)を精確に理解する前提知識も身につけて、公民としての資質を充実させることにもつながるでしょう。 
授業計画 第1回 導入:テキスト紹介、憲法学の基本思考
    PART 3 概説:元祖・基本的人権のいま
第2回 事件17 平等権 同じ子どもなのに,どこが違うの?
第3回 事件19 信教の自由・政教分離 信仰と法律の板ばさみ?
第4回 事件20 表現の自由 立川市防衛庁官舎ビラ配布弾圧事件
第5回 事件22 生存権 老齢加算廃止違憲訴訟
第6回 事件24 参政権 在外邦人選挙権否定違憲訴訟
第7回 PART 1 概説:自己決定権
    事件1 障害者の自由 中津川市議会代読拒否訴訟
第8回 事件3 同性愛の自由 公共施設は同性愛者の宿泊を拒否できるか
第9回 事件5 再婚の自由 再婚禁止期間女性差別違憲訴訟
10回 事件6 治療拒否の自由 自分の身体は自分のもの?
11回 事件8 ポルノ鑑賞の自由 外国ポルノは水際で阻止?
12回 Part 2 概説:新しい人権 
    事件10 プライヴァシー権 住基ネット訴訟
13回 事件11 平和的生存権 自衛隊イラク派遣違憲訴訟
14回 事件12 景観権 街並みの景観を守れないか
15回 事件14 自然の権利 諫早湾干拓ムツゴロウ訴訟

第16回 論述式の期末試験。黒ペンを持参して下さい。

 最低限のルールを示した大学設置基準を遵守して、15回の講義と1回の期末試験を実行する予定です。 
教科書・参考書等 テキスト:棟居快行他『基本的人権の事件簿:憲法の世界へ 第6版』有斐閣 2019年
     (発行元) http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641281356
 各回のレジュメ(要約)は講義後まもなくBb9上で閲覧可能。過去数年分の試験問題と講評も各期末のブログに掲載。 
授業で使用する
メディア・機器等
板書は映写,Bb9で電子ファイルを配布。各自で加筆編集して要約を作成すること。
期末試験では鉛筆ではなく黒ペンで解答用紙に記入して下さい。
第1回か第7回で事件1の記録映画、NNNドキュメンタリー2007「声の壁:発言できない議員」(中京テレビ、2007年、46分)を横浜の放送番組センターからインターネット受信して放映する予定です。 
予習・復習への
アドバイス
 各自で授業前にテキストの該当箇所をよく読んで予習をすることが大切です。高校までの生半可な知識では思考や判断の基盤とはなっても、それのみでは大学では(そして社会に出ても)ほとんど役に立たないので、既存の知識のままで満足してしまわないように留意しましょう。大学では対立する複数の見解や論理の調整や統合を行います。
 予習の過程で不明な点が多々出てくるはずなので、その際には自分で事前に法律学辞典やネット検索などで調べておくことが肝心です。それでも解らない事柄は、どんどん文書で質問してほしいと思います(Bb9の質問箱を利用されたし)。講義の前後で全く質問が出ないという状態は、けっこう自他ともに悲惨な状態でして、つまり講師以外には誰も何も学んでいないことの証左ではあるまいかと語る人もいるくらいです。
 要は「判らなければ、まずは自分で調べる!」これにつきます。試行錯誤の末の御質問は歓迎します。
 そのようなわけで、教科書の語句や講義内容が、ちょっと初耳で難しいからといって、すぐに諦めたりしないこと。予習や復習、そして質疑応答のやりとりの中で、複雑な事柄や出来事を平易に言い換えられるような言語表現力の修得も目指しています。
 ですから、教科書の文面や法律の条文を丸覚えするような無茶な勉強方法はやめて下さいね。駅名や車両の型式だけ覚えて電車の運転をするようなものです。丸暗記の内容とは、けっきょくは浅薄な断片にしかすぎず、日常で使わなければすぐに忘れてしまいますし、覚えた学説や法文自体も、時の流れとともに変わっていきますから、意味も解らずに丸暗記するのは骨折り損の草臥れ儲けということになります。
 重要なのは、憲法学的な思考方法(=立憲主義)の修得です。 
履修上の注意
受講条件等
 講義の際にはきちんと細かくメモを取って下さい。せっかく出席しているのに話を聞き流して試験の際には何も講義の内容を書けない方がほとんどなのでいつも驚愕させられます。
 なお、文部科学省令「大学設置基準」第21条2項により2単位を取得するには90時間の「学修」が必要です。そのうち講義は30時間分しかないので、残り60時間分の学修は授業時間外に各自で予習復習などをみっちり行って、しっかり内容を消化吸収してください。 
成績評価の基準等  期末試験の成績によって評価する。また、Bb9上のこの授業用ページにレポート投稿用の電子掲示板をブログ形式で設けていますので、そこで内容・体裁ともに適切なレポートを投稿してくれた意欲的な受講者には、1回10点の範囲で成績に付け加えます。
 なお、試験の内容については、授業内外で一切質問したりしないこと(いつも講義の内容はそっちのけで、試験の問題や模範解答ばかり尋ねてくる要領中心の方がいらっしゃいますが、今後は世界標準的な姿勢で臨んで不正行為とみなしますよ)。
 また、期末試験の形式については、時機をみてに必要な範囲で、こちらから指示します(実は試験直前まで、どこまで受講者に追及すべきなのかは流動的なので、早々と尋ねられても回答困難なのです)。もちろん、基本的な線は決まっていますし、授業でも折に触れて述べています。それは、人権侵害の事例を構造的に理解したうえ、その救済方法も含めて(試験では2,3の具体的事例を挙げて)説明できるかどうかです。 
実務経験  
実務経験の概要と
それに基づく授業内容
 
メッセージ  いずれ近い将来に憲法は改正されるはずでしょうから、諸君は国会で行われれる憲法改正の発議や国民投票の過程において、基本的人権論の見地から理知的な判断を迫られるはずです。この授業を受講して内容を充分に理解すれば、個人や社会が国家に譲り渡せない部分がいったい何であるのかを自発的に判断できるようになるはずです。 
その他 学修に有益なインターネット上の公開サイトを3つほど挙げておきます。
1)衆議院の憲法審査会>ニュース
  http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/news.htm
2)参議院の憲法審査会>関連資料>貴族院帝国憲法改正議事速記録 1946
  http://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/kenpou/kizokuin/mokuji.html
3)国会図書館「日本国憲法の誕生」https://www.ndl.go.jp/constitution/
【受講希望者が定員を超過したときは受講者抽選を行う可能性があります。】 
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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