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年度 2017年度 開講部局 社会科学研究科博士課程前期社会経済システム専攻
講義コード P5136214 科目区分 専門的教育科目
授業科目名 財政政策
授業科目名
(フリガナ)
ザイセイセイサク
英文授業科目名 Fiscal Policy
担当教員名 菅 壽一
担当教員名
(フリガナ)
カン トシカズ
開講キャンパス 東広島 開設期 1年次生   後期   セメスター(後期)
曜日・時限・講義室 (後) 月7-8:法・経A206
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
講義資料を毎回、配布する。演習形式を併用する。 
単位 2 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 6 : 大学院専門的レベル
学問分野(分野) 24 : 社会科学
学問分野(分科) 24 : 経済学
対象学生  
授業のキーワード 政府予算制約、将来税、ロールオーバー、税制改革、世代間の公平、構造政策、持続可能性、財政再建 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
 
到達度評価
の評価項目
 
授業の目標・概要等 ・租税や公債やマクロ財政の経済分析を通して、財政運営のあり方について考える。 ・租税や公債やマクロ財政に関する基礎的な知識を習得しながら、租税政策や財政政策に関する思考力や現実の政策問題を解く力を身につける。 
授業計画   第1回 量出制入ルールの破綻か?
現代財政の特性について考える。民間部門とどこが違うのか、どのような宿命を背負っているのか。一定の公的サービスを得るのに、税であれば負担か。公債であれば負担なしか。受益と負担のバランスを求めることは、民主主義社会では不可能か。税本来の財源調達機能を取り戻すこと、財政の正常化を図ることの意味について考える。
 第2回 財政とマクロパフォーマンス
財政を適切に制御して、マクロ経済成果を改善していくという財政政策のシナリオについて考える。どこにどう介入するのか、どのような機能を果たすことができるのか。賢人が財政を決めるのか。ハーベイロードの前提か。ケインズ派の裁量政策の基本について考える。
 第3回 量的政策と構造政策
財政政策の論理的構造について考える。政策問題を解くとはどういうことか。なぜ量的政策が効かなくなるのか。なぜ構造政策が必要になるのか。構造改革を止めれば、問題が解決するのか。
 第4回 公的欲求の充足と租税と公債
政府支出を税と、公債で賄う場合の比較を行い、財政コストの意味について考える。税と公債は課税のタイミング(現在税と将来税)の違いでしかない。財政法第4条の均衡予算の精神や建設公債主義は放棄したのか。公債錯覚のもとでの財政運営(放漫財政)の現実と、ソフトな予算制約の帰結について考える。
 第5回 プライマリーバランスと財政運営
各期に裁量的に制御できる財政部分はどこか。財政の基礎的収支(PB)の政策的意義について考える。どうすれば赤字が圧縮でき、債務残高の累積スピードが抑えられるか。段階的にPBのサープラスを積み上げていかなければならない。先送りを続ければ、必要になるPBの大きさが拡大するだけである。結局、公債が財政を破綻させることになろう。今後の利払い費の拡大を予測しながら、財政健全化のためのPB戦略の有効性・実行可能性について考える。
 第6回 マクロ経済と財政政策
マクロバランスの視点から、財政バランスの意味を再検討し、機能的財政論の現代的意義について考える。均衡予算は経済合理的か。双子の赤字とは何か。超少子高齢社会・貯蓄不足経済で何が起きるか。政府の選好はマクロ経済の裁量的均衡にどう影響するか。ケインズ政策の罠はどこにあるのか。財政の均衡とマクロ経済の均衡は両立するか。
 第7回 等価定理と財政運営
なぜ増税に反対するのか。なぜ公債には反対しないのか。なぜ減税を喜ぶのか。増税が負担なのか。減税すれば所得が増えるのか。無限に減税すれば無限にハッピーになれるのか。究極の減税とは何か。なぜ赤字の罠にはまったのか。このまま借金地獄=重税国家への道を突き進んでいくのか。 
 第8回 課税先送りと債務転がしの罠
増税を先送りすれば、消えるのか。債務の借り換え(ロールオーバー)による公債累積の実態について考える。公債の課税平準化が機能するためには、計画的に済し崩していくことが条件である。しかし現実にはこれができない。将来、現金償還(増税)ができないので、また借り換えるのか。借金を続けて借金をなくす話(ポンジーゲーム)の落とし穴である。
 第9回 財政赤字と公債残高の累積
政府であれば、際限なく債務を転がすことが可能か。どこまで膨らむのか。ドーマー命題を唱えていれば救われるのか。成長は発散を阻止するために欠かせない。その意味で成長率と金利の関係は重要である。しかし発散を食い止めることは、破綻回避の前提でしかない。それ以上に債務の圧縮が重要である。将来の税負担が許容できる課税限界(タックス・リミット)を超えれば、事実上返済不能を意味するからである。どう健全化目標を設定すれば成功するか考える。
 第10回 財政赤字、公債とインフレーション
公債の日本銀行による直接引き受けは禁じ手(財政法第5条)である。過大な通貨発行で、インフレを誘発するリスクを未然に防ぐ狙いである。しかし現実には、買いオペレーションによる公債の貨幣化(マネタイゼーション)が行われている。インフレ目標を設定した異次元緩和も進行中である。将来、財政が破綻に追い込まれれば、インフレは不可避である。このインフレは消費税の増税と同じである。増税を先送りしても、家計から政府への所得移転が起こるのは変わらない。インフレによる間接的償還(インフレーション税)について考える。
 第11回 租税と公債と世代間負担
税と公債を比較するとき、将来の消費機会や所得機会に大きな違いがでないか。世代間の公平の視点から、どのような違いが生まれるのか。公債の発行は課税の強制性を先送りする。また貯蓄が受け皿になることから資本蓄積を阻害する。これらから、将来世代の負担の累積が避けられない。
 第12回 課税ベースと税制改革
課税のタイミングの視点から、所得課税と消費課税の比較を行い、ライフタイムでみた公平な税とは何かについて考える。需要サイドおよび供給サイドへの影響の比較を行い、効率と公平の両立の可能性について考える。
 第13回 財政赤字と公債残高と経済成長
財政健全化のための目標をどう設定するのか。国際的な基準(マーストリヒト基準)はどのようなものか。財政赤字(フロー)基準と公債残高(ストック)基準とは何か。二つの目標は両立するのか。それらが有効であるための条件は何か。基準成長率の観点から考える。
 第14回 経済成長と財政改革
経済あっての財政である。財政規模が拡大すれば、それを支えるに十分な経済規模が必要になる。裁量政策によって構造的赤字が財政システムに組み込まれ、赤字が累積していく過程を考える。経済の成長でどこまで自然増収が期待できるか。なぜ景気が回復しても、赤字は自然に消えないのか。なぜ財政構造の見直しが不可欠か。安定化機能との両立の可能性を探る。
 第15回 賢明な政策は幻想か?
健全な財政の姿をどう描くか。経済学的に考えることの重要性について確認するとともに、実践的研究への応用について述べる。 
教科書・参考書等 テキストは特に指定しない。参考文献等はその都度、指示する。 
授業で使用する
メディア・機器等
配布資料、映像 
予習・復習への
アドバイス
主要な論点ごとに、確認問題やレポート例題を出す。各回の論点やノートの整理や、自分の考えをまとめる訓練をする際に活用してください。 
履修上の注意
受講条件等
 
成績評価の基準等 レポート30%(程度),定期試験60%(程度)及び平常点10%(程度)により行う。 
メッセージ マクロ財政の算術を確認しながら、一人ひとりが賢人になったつもりで、健全な財政を取り戻し、将来の安心を確保するための構図を描いてみたいものです。 
その他   
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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