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年度 2017年度 開講部局 経済学部経済学科昼間コース
講義コード G6165313 科目区分 専門教育科目
授業科目名 財政学4
授業科目名
(フリガナ)
ザイセイガク4
英文授業科目名 Public Finance 4
担当教員名 菅 壽一
担当教員名
(フリガナ)
カン トシカズ
開講キャンパス 東広島 開設期 3年次生   後期   セメスター(後期)
曜日・時限・講義室 (後) 月5-6:法・経B157
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
講義資料を毎回、配布する。 
単位 2 週時間   使用言語 J : 日本語
学習の段階 3 : 中級レベル
学問分野(分野) 24 : 社会科学
学問分野(分科) 24 : 経済学
対象学生  
授業のキーワード 政府予算制約、プライマリーバランス、ロールオーバー、クラウディングアウト、タックスリミット、構造政策、持続可能性、財政再建 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
主に財政理論、マクロ経済理論に関連する知識を応用して、マクロ財政、経済・財政政策に関する論理的な思考力や、マクロ政策問題を分析していく力を身につける。 
到達度評価
の評価項目
現代経済プログラム
(能力・技能)
・財政学,金融論等に関する知識を応用して,生活に密着した問題を解決する能力 
授業の目標・概要等 租税や公債のマクロ経済、世代間、および財政本体への影響を分析し、財政運営のあり方について考える。 前期に開講する財政学3の応用編である。  
授業計画 第1回 破綻寸前の日本財政
第2回 政府予算制約と財政政策
第3回 量的政策と構造政策    
第4回 プライマリーバランスと財政運営
第5回 財政錯覚か等価定理か
第6回 ケインズ政策と財政均衡
第7回 クラウディングアウトと財政政策
第8回 公債の貨幣化とインフレーション税   
第9回 物価安定と完全雇用
第10回 政府の選好と裁量的均衡
第11回 税平準化かロールオーバーか
第12回 公債残高・GDP比率と課税限界
第13回 財政赤字と世代間の公平
第14回 財政赤字と公債残高と経済成長:財政健全化目標
第15回 賢明な政策は幻想か? 
教科書・参考書等 テキストは特に指定しない。参考文献等はその都度、指示する。 
授業で使用する
メディア・機器等
配布資料、映像 
予習・復習への
アドバイス
第1回 現代財政の特性とその宿命について考える。ケインズ政策は「賢い政府」を前提するが、現実は文字通りJ.ブキャナンのいう「民主主義の失敗」というべきか。
 第2回 政府予算制約の動学的な特性(“不愉快”な財政算術)と社会的厚生の改善を目指す最適予算政策の考え方を確認しながら、現実の債務転がし型の財政運営の実態について考える。
 第3回 財政政策の論理的構造について考える。政策問題を解くとはどういうことか。なぜ量的政策が効かなくなるのか。なぜ構造政策が必要になるのか。構造改革を止めれば、問題が解決するのか。
 第4回 財政赤字を圧縮し、公債残高の累積スピードを抑制するには、今後、プライマリーバランスのサープラス(PBS)の段階的な積み上げが必要になる。先送りを続ければその分、所要PBSの大きさが拡大するだけである。歴史的に公債残高の初期値が既に高い状態にある場合、この制約は厳しい。結局、公債が政府を破綻させることになるのか。財政破綻回避のための基本戦略について考える。
 第5回 ライフサイクル(重複世代)モデルを使って、税と公債による資金調達によって人々の行動に大きな影響が生じる場合と、何ら実質的な影響が生じない場合の比較分析を行い、公債錯覚と等価(中立)定理のメカニズムと意味について考える。また世代の枠を超えた公債発行の場合の含意についても応用する。
 第6回 ケインズ政策という場合、一度限りの政府支出の変化ではない。通常、目標所得水準を設定し、常時反応する。ケインズ政策を内生化した場合、経済が均衡し、かつ財政収支が均衡することになるのかどうか。政府予算制約モデルを使って分析し、ケインズ政策と財政均衡の両立について考える。
 第7回 裁量的な財政政策が有効に働くのかどうか。これを決めるのがクラウディングアウトである。政府部門の拡大が民間の経済活動に置き換わるだけであれば総需要は不変ですむが、結果的に削減する可能性はないのか。クラウディングアウトのメカニズムと意味について、マクロモデルを使って考える。
 第8回 公債の日本銀行による直接引き受けは禁じ手である。過大な通貨発行で、インフレを誘発するリスクを未然に防ぐ狙いである。現実には買いオペレーションによる公債の貨幣化(マネタイゼーション)や、インフレ目標を設定した異次元緩和も進行中である。将来、財政が破綻に追い込まれれば、インフレは不可避である。インフレは消費税の増税と同じであり、増税を先送りしても、家計から政府への所得移転が起こるのは変わらない。インフレーション税による間接的償還について考える。
 第9回 ケインズ政策の二つの目標である物価安定と完全雇用は両立するのか。両立しないとすれば、どのような組み合わせの選択が可能になるのか。ケインズ政策では、裁量政策によって経済はどのようにでも制御できるとするが、どのような政策が実施されても、人々の期待は変わらないのか。フィリップス曲線の枠組みを使って、人々の期待が変化する場合、裁量的財政政策が有効かどうか考える。
 第10回 期待を織り込んだ枠組みに、政府の選好を組み合わせてみよう。政府は民間とどのような政策ゲームを行うことになるのか。政府の政策に民間が反応するとき、当初の政策が将来も維持される保証があるのか。政府が時間とともに政策を変更していけば、民間はやがてそれを予想して行動するから、どんな政策をアナウンスしても信用しなくなる。最適な政策を追及する試みが、経済状況を悪化させるだけとならないか。政府の選好がマクロ経済の裁量的均衡にどのように影響するか、モデル分析する。
 第11回 増税を先送りすれば、消えるのか。将来誰が負担するのか。借り換えの罠か。ロールオーバーによる公債累積の実態について考える。公債の課税平準化が機能するためには、計画的に済し崩していくことが条件である。しかし現実にはこれができない。将来、現金償還(増税)ができないので、また借り換えるのか。借金を続けて借金をなくす話(ポンジーゲーム)の落とし穴である。
 第12回 政府であれば、際限なく債務を転がすことが可能か。ドーマー命題を唱えていれば救われるのか。成長は発散を阻止するために欠かせない。その意味で成長率と金利の関係は重要である。しかし発散を食い止めることは、破綻回避の前提でしかない。それ以上に債務の圧縮が重要である。将来の税負担が許容できる課税限界を超えれば、事実上返済不能を意味するからである。どう健全化目標を設定するか考える。
 第13回 税と公債を比較するとき、将来の消費機会や所得機会に大きな違いがでないか。世代間の公平の視点から、どのような違いが生まれるのか。公債の発行は課税の強制性を先送りする。また貯蓄が受け皿になることから資本蓄積を阻害する。これらから、将来世代の負担の累積が避けられない。重複世代モデルを使って考える。
 第14回 財政健全化のための目標をどう設定するのか。国際的な基準(マーストリヒト基準)はどのようなものか。財政赤字(フロー)基準と公債残高(ストック)基準とは何か。それら二つの目標は両立するのか。それらが有効であるための条件は何か。基準成長率の観点から考える。
 第15回 マクロ財政の算術を確認しながら、一人ひとりが賢人になったつもりで、健全な財政を取り戻し、将来の安心を確保するための構図を描いてみたいものです。 
履修上の注意
受講条件等
ミクロ経済学、マクロ経済学、および財政学3を履修しておくことが望ましい。 
成績評価の基準等 レポート30%(程度),定期試験60%(程度)及び平常点10%(程度)により行う。 
メッセージ 主要な論点ごとに、確認問題やレポート例題を出す。各回の論点やノートの整理や、自分の考えをまとめる訓練をする際に活用してください。 
その他   
すべての授業科目において,授業改善アンケートを実施していますので,回答に協力してください。
回答に対しては教員からコメントを入力しており,今後の改善につなげていきます。 
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